日本では5年で倍増のロールス・ロイス

ロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋のジェネラル・マネージャーであるパトリック・ヴィーク氏によると、日本ではロールス・ロイスの納車台数がここ5年で倍増しているとのこと。日本自動車輸入組合(JAIA)の統計「車名別輸入車新規登録台数の推移(暦年)」を確認すると、2012年に90台だったロールス・ロイスの新規登録台数は2017年に225台まで増えている。

  • ロールス・ロイスのグルンワルド氏とヴィーク氏

    パトリック・ヴィーク氏(左)とスヴェン・グルンワルド氏

新型ファントムについても多くの注文を獲得できているとヴィーク氏は話していたが、詳細な予約数を聞くと「quite good order」(かなりいい感じ)として明言を避けた。ただ、2015年から2017年までの間に、ロールス・ロイスが日本国内で3カ所(名古屋、福岡、広島)の販売店を増やし、ディーラーネットワークを東京、大阪、横浜の3カ所体制から倍増させたところから考えても、ヴィーク氏が「quite confident」(自信あり)と語る背景には確かな手応えがあるようだ。

予約数の詳細は聞けなかったのだが、規模感だけでも知りたいと思ったので、ロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋 北部地域で広報マネージャーを務めるローズマリー・ミッチェル氏にも、「数十台なのか、数百台なのか」と聞いてみた。ミッチェル氏も数字の詳細を明かすことは避けたが、「数百台」という数字に「突拍子もない」といった様子で少し苦笑したところから考えると、推測だが新型ファントムの予約台数は十数台から数十台といった規模なのだろう。

  • ロールス・ロイス「ファントム」のフロントマスク

    新型「ファントム」の予約数は数十台規模?

台数の少なさがプラスに働く珍しいクルマ

ミッチェル氏によれば、日本におけるロールス・ロイスの販売台数のうち、最も高価なファントムが占める割合は基本的に1割程度で、多くて2割に届くか届かないかくらいのボリュームだという。印象的だったのは、ファントムの台数についてミッチェル氏が口にした「そうあるべき」という言葉。時々は見かけるレベルではなく、滅多に見かけないクルマであることもファントムの価値というわけだ。新型の反響については、「ずっと(ファントムを)乗り継いでいる人もいるし、14年ぶりのモデルチェンジで待っているお客様も多い」とのことで、好感触を得ている様子だった。

  • ロールス・ロイス「ファントム」のリア

    大物芸人で映画監督の某氏もそうだと本で読んだことがあるが、ロールス・ロイスを乗り継いでいる人は日本にも一定数いるらしい

ロールス・ロイスは2018年の夏頃、同社が「Project Cullinan」(カリナン)と呼んで開発を進める新型SUVを世界に向けて発表する予定。このクルマの登場で、ファントムを頂点とするロールス・ロイスの商品ラインアップは一応の完成を見る。昨今のSUVブームが追い風になったとしても、カリナンが爆発的な売れ行きをみせるとは思えないが、街でSUVを見かける機会がますます増えていく中、カリナンもロールス・ロイスらしい希少価値で独特の存在感を放つクルマとなりそうだ。