JR九州は13日、「JRKYUSHU SWEET TRAIN『或る列車』」の運行開始以来、初という車内見学会を長崎駅1番線ホームで実施した。これに先立ち、同列車の午前便(佐世保発長崎行)において報道向け試乗会も行われた。

  • 長崎駅1番線ホームで「或る列車」の車内見学会が行われた

「JRKYUSHU SWEET TRAIN『或る列車』」は2015年8月にデビューした2両編成(1号車はキロシ47-9176、2号車はキロシ47-3505)のD&S列車。水戸岡鋭治氏がデザイン・設計を手がけ、外観は故・原信太郎氏が愛した幻の客車「或る列車」(九州鉄道ブリル客車)の模型をもとに、ゴールドと黒を基調に唐草模様をあしらい、ロイヤルな雰囲気を演出している。

車内は格天井や組子、ステンドグラスなど、「ななつ星 in 九州」でも採用された職人技が随所に散りばめられている。2人席・4人席が並ぶ1号車は明るいメープル材、コンパートメント(半個室)を配した2号車はウォールナット材で落ち着いた雰囲気とした。1号車の扉付近に、同列車の原型となった原信太郎氏作「或る列車」の模型も展示されている。

報道向け試乗会が行われた1月13日、「或る列車」は9時12分頃、佐世保駅6番線ホームに入線。今回は通常の列車と同様のサービスを行うとのことで、報道関係者らはアテンダントに出迎えられ、車内の各座席へ。9時49分に佐世保駅を発車した。

  • 佐世保駅6番線ホームに「或る列車」が入線

  • 佐世保駅を発車後、車内では多彩な料理・スイーツが提供された

車内で料理・メニューも提供され、料理は「新年」をテーマとした「長崎県 小長井の牡蠣の炊き込みご飯」「熊本県 車エビと長崎県 アオリイカ、長崎県 真鯛と根菜のサラダ仕立て」「九州産 牛肉の時雨煮と冬野菜の胡麻の香り」などを提供。列車は早岐駅から大村線に入り、車内では「福岡県 紅茶のプリンとりんごのキャラメル風味のカクテル」「大分県 米麹と長崎県 もち米の甘酒、佐賀県 柚子と長崎県 苺の香り」が提供された。車窓に広がる大村湾を眺めつつ、スイーツを堪能できた。

諫早駅から長崎本線に入り、喜々津駅からは「旧線」と呼ばれる長与駅経由の区間を走行。大村湾や雪景色の段々畑など変化に富んだ車窓風景を見ることができ、車内ではクラシック音楽が流れる中、メインのスイーツ「佐賀県 熊本県 柑橘類のクレープジュゼット」、さらに「熊本県 和栗のパイ包み」「福岡県 抹茶のクレームブリュレ」「福岡県 バニラのガトー」が提供された。

  • 早岐駅では隣のホームに783系リニューアル車両の特急「ハウステンボス」が停車中だった。大村線ではハウステンボスや大村湾の車窓風景を眺められる

  • 諫早駅付近では建設の進む九州新幹線(西九州ルート)の高架橋も見ることができた

  • 喜々津駅からは長崎本線の「旧線」と呼ばれる区間へ。段々畑に雪が降り積もっていた

長与駅付近から住宅地の広がる車窓風景となり、やがて長崎市の市街地に入って、12時10分頃、長崎駅1番線ホームに到着した。

到着後に実施された「或る列車」の車内見学会も盛況だった。開始時刻は12時20分頃とされたが、11時すぎの時点ですでに200組を超え、イベント終了前に500組に達して受付終了したという。

  • 長崎駅で行われた車内見学会は多くの来場者でにぎわった。1番線ホームでは「或る列車」のミニトレインも運転された

「或る列車」は通常、10歳未満は乗車不可とされているが、今回の車内見学会では「お子さまもご参加いただけます」と案内されたこともあり、子供たちを連れた家族での参加が多かったようだった。イベント用に用意されたJR九州の子供用制服を着用し、列車の前で記念撮影を行う家族の姿も見られた。ホームでは「或る列車」のミニトレインが運転されたほか、JR九州の列車グッズの特別販売も行われた。

「JRKYUSHU SWEET TRAIN『或る列車』」は、今年6月末まで「長崎コース」として、金・土・日・月曜日を中心に佐世保~長崎間で運行されることが決まっている。4~6月に運行される同列車のうち、JR九州企画・実施分は2月1日16時まで先行ウェブ販売(JR九州Web会員が対象)を実施中。一般発売は2月9日を予定している。その他の旅行会社企画・実施分については「設定の有無を含め各旅行会社にお問合せください」とのこと。

  • 「JRKYUSHU SWEET TRAIN『或る列車』」の車内・外観など