つまづいた日産、3社アライアンスの今後に影響は
東京モーターショーの開催を目前に控えた2017年9月末に、日産の国内工場で完成車検査の不正が明るみに出た。工場の生産ラインの最終検査ラインで無資格者が完成検査に関わっていた問題だ。西川廣人社長が陳謝会見を開いたものの、その後も不正が続いていたことで日産は、10月中旬からの約3週間、国内向けの生産と出荷を停止し、再発防止策を導入した。
日産に続いてスバルにも同様の不正が見つかり、東京モーターショーの開会式当日には、吉永泰之社長の陳謝会見に波及する事態となった。日本のクルマづくりは品質・性能で定評があっただけに、コンプライアンス(法令順守)の欠如や経営サイドと製造現場の乖離は、ある意味で日本車のモノづくりの根幹を問われかねない失態と映った。一方で、国内向けの完成車検査だけが国土交通省から各メーカーへの委託となっている制度設計にも疑問を差し挟む余地はあるのだが。
いずれにしても、日産では長年、この検査不正が続いていたということで、17年間も日産の社長を務めたカルロス・ゴーン氏の経営責任を問う声も出た。日産は、仏ルノーの傘下に入ってからV字回復を果たし、ルノー・日産連合は、国際アライアンスの成功例とされてきたのみならず、V字回復後は日産がルノーを助ける構図へと情勢が変わってきていた。2016年には燃費不正で窮地に陥った三菱自動車を日産が助ける形で資本提携し、三菱自では日産流経営手法の導入から1年が経過して、業績V字回復の流れを作っていた矢先でもあった。
ゴーン会長の去就も話題に
皮肉にも、「ルノー・日産・三菱3社連合」の会長として、ゴーン氏がパリで2022年までの中期経営計画を発表したのが9月15日のことだった。3社連合は2022年に2016年比4割増の1,400万台を販売し、2020年までにはEV専用の共通プラットホームを用意して、12車種のEVを投入することで「EVのリーダーとなる」(ゴーン会長)と怪気炎を上げた直後に、日産で不正が発覚したのである。
日産は、生産担当の松元史明副社長を更迭し、ゴーン時代以前の旧・日産から続いていたと見られる無資格検査の再発防止の徹底を図ることになるが、どこまで信頼回復への道筋に結びつけられるか、ということになる。
2017年4月にゴーン長期政権の後を継いだ西川体制は、早々につまづくことになった。ルノー・日産・三菱の3社連合において、何といっても中核は日産だ。フランスでは、ゴーン氏がルノーCEOを退任するのではとの報道も出ている。
いずれにせよ、2018年に日産が立ち直れるか、あるいは立ち直りの兆しを見せられるかは、3社連合の今後を占う上で注目すべきポイントだろう。