2017年の自動車産業は「100年に1度の大転換期」にあって、電動化、知能化、情報化のイノベーション(技術革新)に向けたさまざまな動きがあったが、とくにトヨタ自動車が電動化戦略を前面に打ち出したことは注目に値する。合従連衡は電動化が核となるのか。2018年を展望する。
危機感を強める世界のトップメーカー
言うまでもなく、トヨタは日本の自動車産業のリーディング企業であり、世界のトップ自動車メーカーである。そのトヨタが「従来の延長線上に未来はない」(豊田章男社長)との危機感を強めて、一気に電動化戦略を打ち出してきた。
その具体例が、マツダおよびデンソーとの電気自動車(EV)基幹技術開発会社「EV C.A. Spirit」の設立(2017年9月)、「車両電動化技術説明会」(同11月)、パナソニックとの車載用角型電池事業の協業検討合意(12月)、「電動車普及に向けたチャレンジ」(12月)の公表という矢継ぎ早の発表だ。さらに、この間にはスズキとの業務提携で具体化に向けた歩みを進め、インドにおける2020年頃のEV投入に向けた生産・販売の協業検討合意(11月)を発表している。
トヨタは本当に電動化で出遅れたのか
「EVに出遅れたトヨタ」との報道が多かったが、実態は違う。トヨタの電動化戦略はEVだけでなく、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)も含む電動車に向かう地図を「従来の枠組みを超えて展開していく」(寺師茂樹副社長)方針に切り替えて、今後はオープンで「日本車連合」による基準づくりと量産・量販によるコスト削減を狙う方向を一気に打ち出したのだ。
日本車の中で、トヨタと資本提携ないし業務提携の関係にあるのはダイハツ、日野自動車、スバル、マツダ、いすゞ自動車、スズキといった面々。一方で、仏ルノー資本の日産自動車に、その傘下となった三菱自動車工業で形成する「ルノー・日産・三菱自」連合が一大勢力を築いており、単独となるのがホンダという構図になる。
2018年は、トヨタの日本連合の枠組みがどのように広がるかが注目される。電動車のカギを握る電池事業の観点では、次世代電池と言われる全固体電池で「トヨタ日本連合」にホンダが加わることもあり得るし、ホンダがGMと緩やかな提携を広げるとともに異業種提携を積極化することも考えられよう。