新津流の時短掃除術

――「親子で掃除」といっても、忙しい毎日の中で全てを完璧に行うのは難しい人もいると思います

そうですね。ですから、まずは「玄関」と「トイレ」を優先的にきれいにしようと心がけてほしいと思います。玄関はいろんな人が見る場所だし、トイレはきれいにしておけば臭いが出ない分、部屋中がいい環境になります。

その次がキッチンです。キッチンは家族の健康を守る場所。使った料理器具や食器などをためておくと雑菌が増えて衛生的に良くないので、その日のうちに洗いましょう。

  • 「まずは玄関とトイレ」と新津さん

――新津さんはこれらのスペースを掃除するときに、どんなことを工夫されていますか?

例えばトイレですが、掃除道具や洗剤を床に置くのが良くないと思っているんですよ。便器の両サイドの床のスペースはとても狭いので、物を置いたら掃除できません。どかしてから掃除をするのは、面倒ですよね? そうして、掃除のモチベーションを下げてしまいます。掃除しやすい環境があれば、使い捨てペーパーを用意しておいて、ささっと拭くだけできれいな状態が保てます。

  • トイレの床には何も置かないようにすると掃除は楽になる

またわが家では、玄関の中と外に1枚ずつマットを敷いて、ゴミが家の中に入るのを防いでいます。外用は、靴の裏にはさまった小石やゴミが取れるように硬くて長い毛がついたもの、中用は、もう少し細かい土砂を取ってくれる素材のものを使っています。

シンクの排水溝のゴムブタや三角コーナーは、晩御飯が終わったあとに洗ってシンクの上で乾かしておけば、ヌルヌルになりません。これでキッチン掃除はだいぶ楽になるはずです。

  • ゴムブタはその都度洗って乾かしておく(写真は新津さん提供のもの)

掃除が楽になれば、自分のしたいことができる楽しい時間がいっぱい増えます。ママたちは、「全部自分でやらないといけない」と想像以上に神経を使っていると思うのよ。でも、もうちょっと楽をしてもいい。ママだけが家を守る必要はないんです。

これは子どもにも言わないといけない。「自分の部屋は自分で掃除しなさい」ってね。覚えていかないと、将来も掃除ができない大人になってしまいます。

家族のコミュニケーションのきっかけに

――大掃除は家族みんなで家のことを考えられるいい機会ですね

大掃除をする前に、まず「大掃除は家族全員でやるものです」と伝えることが大事です。家のことはママだけでなく、家族全員でやるんだという共通認識が持てるといいですね。

私は常々、日本人の家族は会話が少なすぎると感じています。だから、お掃除をしながら会話をしてほしい。そして家がきれいになって「疲れたね、でも気持ちいいね」という雰囲気の中で、日頃感じていることを話してみたらいいのではないかしら。

いつもは言わないけれど「パパ、最近調子どう? 仕事、大変だね」って言葉が出てくるかもしれない。そんなママの姿を見て、子どもがパパの様子を気にするようになるかもしれない。お互いに子ども、奥さん、夫を気遣う機会になると思うんです。

お金もかからないし、運動にもなるし、健康にもなるし、みんなが気持ちいい。家族一緒に掃除をして「気持ちいい」という気分を味わうと、子どもだって「もう1回!」と掃除を率先してやってくれるようになるかもしれませんよ。

『子どもと一緒に身につける! ラクして時短の「そうじワザ」76』(税別1,200円/小学館)


「そうじは生きていくために一生続けなければならない。ならば少しでもラクにカンタンに、家や学校をキレイで居心地のいい場所にする方法を教えたいんです」(著者・新津さん)
小中学生のうちに本書で書かれている内容をマスターできれば、「段どり力や清潔感が得られラクで効率のよい一生がおくれる」、しかも「想像力が養われ人への気配りができる子になる」といいこと尽くめ。自分の部屋や教室をキレイにしながら、人間力も育つのです。小中学生向けなので、タオル1本洗剤3つでもキレイになる方法からスタート。もちろん、そうじ機やモップなど、"持ってはいるが正しく使いこなせていない"道具の疲れない使い方・動き方も詳しく紹介。そう、そうじ嫌いの大人にも十分役立つ!!
さらに本書では、著者の新津さんのご自宅を初公開! 玄関、浴室、洗面所、キッチン、トイレ、ベランダなど、ラクに短時間でキレイにするためにどんなワザが使われているのかを写真で紹介しています。