メットライフ生命が今月7日、半月に一度開催する業績・戦略説明会を今秋にリニューアルしたばかりの錦糸町オリナスタワーの新オフィスで開催した。当日は、代表執行役 会長 社長 最高経営責任者のサシン・N・シャー氏が直接登壇し、同社の上半期の業績や、業界が直面している課題、今後のビジネス展開などについての説明を行った。

  • メットライフ生命、業績・戦略説明会での質疑応答の模様

    メットライフ生命、業績・戦略説明会での質疑応答の模様

また、当日はリニューアルしたばかりの錦糸町オリナスタワーの新オフィスお披露目と同社が世界的に展開しているイノベーションプログラム「Collab 2.0」のファイナリストによる討論会「COLLAB サミット JAPAN」も開催された。

  • ネットライフ生命 代表執行役 会長 社長 最高経営責任者サシン・N・シャー氏

    メットライフ生命 代表執行役 会長 社長 最高経営責任者サシン・N・シャー氏

説明会の冒頭で同社代表執行役 会長 社長 最高経営責任者のサシン・N・シャー氏が挨拶を行い、本年度の業績の報告を行った。同氏は、業績について「業績は好調に推移し、保険料収入は7.8%成長した。その一方で保険業界全体では、8.4%減少という厳しい状況になった」とコメント。好調の要因については、「2015年から、日銀のマイナス金利政策に対して円から外貨建て商品に切り替えたことがよい結果につながった」と分析した。

また、業界全体の落ち込みについては、「要因となったのは、日銀のマイナス金利政策によるもの。加えて、今年4月の生命保険標準利率の引き下げによりさらにその動きが加速することが予想される」と今後も厳しい状況が続くことを語った。

また、マイナス金利、低迷する経済成長に加えて、急激に進む高齢化社会を迎えて顧客が生前給付型の保障の需要が大きくなるなどの顧客ニーズの変化、新しいIT技術による保険・ヘルスケアテクノロジーの融合、IT技術によって激化する競争、各国政府による顧客保護の強化など、現在、保険業界の事業環境が大きく変化していることを語り、このような現状を理解した上で、サシン・N・シャー氏は、同社の今後については、「逆風をビジネスチャンスに変えてゆく」という強気の姿勢をアピールした。

そして、新たな戦略として提案するのが、高齢化社会を見据えた上での「老後」に焦点を当てたビジネスとスマートフォン向けのアプリの開発やAIやロボテックスに代表されるオープンイノベーションの推進だ。「老後」に関しては、同社は「#老後を変える」キャンペーンを9月より実施。これは、CMや特設サイトを設け「老後」の概念をより明るく豊かに変えてゆこうというもの。これに合わせて、介護や認知症での保障を備えた「Flexi S」や「Flexi Gold S」などの医療保険商品をアピールしてゆく。

  • 「#老後を変える」キャンペーン Webサイト

    「#老後を変える」キャンペーン Webサイト

スマートフォン向けのアプリの開発に関しては、同社は、先月28日に給付金請求専用アプリ「かんたん給付請求」を発表している。同アプリは、被保険者が病気やケガで入院や通院し、「入院給付金」および「通院給付金」が必要になった場合の請求手続をスマートフォンのアプリを使って24時間いつでも行うことができるというもの。「かんたん給付請求」は、アメリカで先行公開され好評を博し、中東、日本の順で今回、導入が発表された。

  • ネットライフ生命 執行役 専務 最高財務責任者 グレッグ・ブレナン氏

    メットライフ生命 執行役 専務 最高財務責任者 グレッグ・ブレナン氏

同アプリに関して、同社の執行役 専務 最高財務責任者グレッグ・ブレナン氏は先行導入されたアメリカでの反響について「非常に好評で24時間、いつで給付請求ができる点が高く評価された」と語り、また別の効果として「これにより給付の流れの効率化と社内業務の効率化も進んだ」とアプリ導入により業務改善にも繋がったとコメントしている。

シンガポールで開催された「Collab 1.0」の成功の元、第二弾として東京を舞台に開催されたのが「Collab 2.0」だ。「COLLAB サミット JAPAN」では、「Collab 2.0」のファイナリストが檀上において、生命保険業界とオープンイノベーションについて討論を行った。

また、オープンイノベーションの推進に関しては、同日、同オフィスにおいてシンガポールを拠点とする関連会社メットライフ・アジアのイノベーションセンター「LumenLab」が主催する「COLLAB サミット JAPAN」を開催。同イベントは、LumenLabの提供するビジネスマッチングプログラム「Collab 2.0」より最終選抜された6社が登壇し、生保業界におけるオープンイノベーションをテーマにディスカッションを行なうもので、当日壇上では、モバイルカスタマーとAI・オートメーションの二部構成で活発な議論が行われた。

  • パネルディスカッション「CX-モバイルカスタマーと保険業界」

    パネルディスカッション「CX-モバイルカスタマーと保険業界」

  • 「AIが導くオートメーションと保険業界」の模様

    「AIが導くオートメーションと保険業界」の模様

ビジネスマッチングプログラム「Collab 2.0」は、同センターが「顧客との関係強化」、「営業」、「バックオフィス」、「営業支援業務」の四つの分野における課題を設定しそれを解決するソリューションを公募、最終審査に残った優勝社とは、1,000万円相当の契約が結び、同社においてソリューションのパイロット事業を行うというもの。

今回は、世界中から24カ国、111社が応募し、最終的に「Concierge U」社、「Gnowbe」社、「Moneytree」社、「Montoux」社、「Trustsphere」社、「Workfusion」社の6社が選ばれた。今後、6社は8日に開催される「デモ・デー」を通して、メットライフ生命とLumenLabの9人の役員により最終審査が行われる。同社は、このようなイベントを通し新しいビジネスの開発を目指してゆくという。

また、説明会の後リニューアルした錦糸町オリナスタワーの新オフィスのお披露目も行われた。オフィスは、18階から30階までの12.5フロアを占有し、各フロアにはユニークなデザインのオープン共有エリアや休憩のためのゲームルームやリフレッシュルーム、30階には、スカイツリーと江戸川区を一望できる広々としたカフェなど快適な空間が演出されている。同社は、これにより東京に複数あった拠点が「東京ガーデンテラス紀尾井町」とこの「錦糸町オリナスタワー」の二つに集約されることとなる。

  • メットライフ生命 新オフィス

    30階のカフェテラス。オフィスからは江戸川区一帯を一望できる素晴らしい景色を堪能できる

  • メットライフ生命 新オフィス

    オリナスタワー西側からは、スカイツリーを間近に見ることができる

  • メットライフ生命 新オフィス

    30階のオシャレなデザインのカフェ。コーヒー以外にも軽食をとることもできる

  • メットライフ生命 新オフィス

    コミュニケーション活性化の一環として、ゲームルーム・リフレッシュルームを設置。卓球や卓上ゲーム、テレビゲームを楽しむこともできる