メドピアは11月30日、「過労やメンタルヘルス不調対策の現状と問題点」に関する調査結果を発表。調査は11月1日~7日、同社運営の医師専用サイト「MedPeer」に登録、かつ現在産業医に従事する医師500名を対象にインターネットで行われた。

非常勤産業医の勤務時間は、月2時間程度

調査によると、産業医の76%が非常勤。非常勤産業医の1社あたりの平均勤務時間は、1か月わずか2時間未満が最多とのこと。

  • 産業医の業務で占める時間が多いもの

    産業医の業務で占める時間が多いもの上位3つ

そこで、わずかな時間の中で行う主な業務について尋ねたところ、「衛生委員会への参加」「月1回の職場巡視」「健康診断の結果確認」が上位に。従業員との面談や相談対応に時間を割けられていない現状が浮き彫りとなった。

相談が増加傾向にあるも、十分な対応できず

  • 「産業医として、従業員のメンタル不調や過労の早期発見と対策に十分な役割を担えているか」・「専門が精神科でないことで、メンタル不調や過労の従業員への対応に困ることは?」

    産業医として、従業員のメンタル不調や過労の早期発見と対策に十分な役割を担えていると思いますか? / 専門が精神科でないことで、メンタル不調や過労の従業員への対応に困ることがありますか?

続いて、「メンタル不調や過労による相談、休職・退職は最近(ここ2・3年)で増えていると思うか」を聞くと、約半数(47%)が「増えている」と回答。しかしながら、「メンタル不調や過労の早期発見・対策に十分な役割を担えている」と感じている産業医は23%にとどまった。

また、「専門が精神科でないことで、メンタル不調や過労の従業員への対応に困ることがありますか?」の問いに、実に76%の産業医が「ある」と回答。精神科分野での専門性や時間の不足を理由とする声が多く挙がった。

早期介入に、第三者の相談窓口との連携を

「もっと早く介入できれば良かったと思うことはありますか?」と質問したところ、76%が「ある」と回答。早期に介入できない原因として、本人からの訴えが少ないことや、非常勤なので行き届かないことなどが挙がった。

  • メンタル不調や過労の相談を受けるきっかけ

    メンタル不調や過労の相談は、どのようなきっかけで受けることが多いですか?

では、メンタル不調や過労の相談を受けるのは、どのようなことがきっかけとなっているのだろうか。調べた結果、「上長や周囲からのアラート」(184名)を通じてが最も多く、次いで「ストレスチェック」(146名)、「従業員自らの申請」(110名)と続いた。

「ストレスチェック」が一つのきっかけとなっている一方で、「ストレスチェックの導入がメンタル不調や過労の改善につながっている実感はあるか」という問いに、87%が「実感はない」と回答。また、「従業員が気軽に健康相談を行える場が、産業医に限らずもっと必要だと思う」という産業医は79%にのぼり、「相談しやすくすることが早期発見の第一歩と考える」(一般内科、非常勤)、「仕事が忙しく、気軽に医療機関を受診する時間が作れない従業員が多いと思うから」(小児科、非常勤)、「産業医には限界がある」(耳鼻咽喉科、非常勤)など、第三者の相談窓口との連携を望む声が多数寄せられた。