3社アライアンスで野心的な数値目標、大黒柱の日産は

2016年度で終了した直近の中期経営計画(中計)である日産の「パワー88」。「88」というように、世界販売シェア8%と売上高営業利益率8%とを目標に置いた、ゴーン流のわかりやすい中計だった。

しかし、このパワー88は未達に終わる。その中で、4月にゴーン氏は日産社長の座を西川氏に譲り、自らは会長になるとともに、三菱自動車の会長、ルノーのトップ、ルノー・日産・三菱自アライアンスの会長の計4役を兼ねることで、3社連合を率いる立場を明確にした。

これに基づきゴーン氏は、3社連合の2022年までの中期経営計画「アライアンス2022」をパリで発表し、連合でグローバル1,400万台(2016年比40%増)、売上高2,400億ドル(約26兆4,000億円、同30%増)という世界覇権への野望ともいえる目標数字をぶちあげている。

しかし、昨年の三菱自動車の不祥事に続き今回、日産の生産現場における検査不正が明るみに出たことで、日産は3社連合の計画と連動する新たな中期経営計画の中身を詳しく発表することを引き延ばさざるを得ない状況となった。

前の中間決算発表でも西川社長は、冒頭に「信頼を取り戻す」と陳謝するとともに、「新中計の中味の発表は年内にでも改めて行いたい」と述べている。

詳細説明が待たれる新しい中期経営計画

2017年度からスタートしている日産の新たな中計は、2020年度までの6カ年計画となる「日産M.O.V.E to 2022」が概括的に発表されている。「M」はモビリティ、「O」はオペレーション・エクセレンス、「V」は顧客への価値提供、「E」は電動化を意味する。健全な収益性と安定したフリーキャッシュフローを確保しながら、「持続可能な成長」を実現するというものだ。

新しい中期経営計画は今のところ、概要が示されただけだ

西川社長は、この中計を進めるにあたって「我々が狙っているのは、着実な成長だ。スコアカードは、将来を見据えて健全なポジションをとるための妥当な数字であり、世界シェア8%を目標にすべきではなく、ポテンシャルを持つということだ」とする。

つまり西川体制は、現状の混乱をまず打開し、信頼を回復させていくことが第一義だとして、これまで必達目標としていたコミットメントから、「着実な成長」へと方向転換を図ることになったのである。