三浦:僕自身、"アンク復活"なんて最初はまったく予想もしていなかったんですよ。『オーズ』が終わってからわりと早い段階で「アンクが再登場するエピソードを作りたい」みたいな話もいただいてはいたんですが、僕がアンクから離れたいという思いがあって、ことごとくお断りしていたんです。 1年間演じてきたアンクのイメージが強すぎて、他の仕事が全然できなかったので……。でも、あれから6~7年という歳月が過ぎて今年で僕も30歳になりました。そこでいろいろ考えることもあり、秀くんからいいきっかけももらったので「出てみようかな」という気持ちになったんです。

渡部:まさに運命ですね。

三浦:運命といえば、当時杉原さんと同じく『オーズ』の助監督だった上堀内佳寿也さんが、今回の映画の監督ですからね。

渡部:全部つながっているんですよね。カミホリさん(上堀内監督の愛称)は当時『オーズ』のセカンド助監督で、ずっと一緒にやってきた仲間という思いが強くて。撮影に入る前、カミホリさんが監督だと聞いて感慨深かったです。「そうか~カミホリさんが監督か」って、しみじみ思いました。

三浦:思うよね(笑)。誰よりも早く現場に入って、僕らのことを待ち受けてくれていた人だし。

渡部:時には怒られたりもした(笑)。

三浦:僕らが失敗しても、いつもかばってくれた。同じ年齢でもありますし、親しくさせていただいていました。

――久々に『仮面ライダー』のお仕事で東映東京撮影所に入られたときの心境はいかがでしたか?

渡部:入り口の雰囲気は変わっていました。やっぱり数年経って、ライダーも様変わりしていますし、新しい現場の雰囲気だなって思ったんです。しかし撮影を重ねていくと、「おお、あのときの空気がよみがえってきたぞ」と感じるようになりました。スタッフも半分くらいは当時の方たちがいらっしゃって、当時から変わらない関係性がひたすらうれしかったです。

三浦:今回、撮影していて印象的なひと言がありました。当時のスタッフさんの一人から「やっぱりお前らが落ち着くな」って言ってもらえたんです。あと、撮影がスムーズだって。なんかうれしかったですね。『オーズ』当時は、僕たちもそれなりに戦っていましたし、大変なスケジュールの中をみんなで乗り越えたんだな~って、そのひと言で感じました。

渡部:今回久しぶりに映司とアンクが復活するにあたって、誰もが納得のできる内容にしたいという思いがあったんです。特にアンクがどうやってよみがえるかという部分を、ファンの方たちに納得してもらえるものにしてほしいし、当時の2人の雰囲気を十分出していきたいと思っていました。できあがった台本には、そういう要素がすべて入っていたので、これは全力でやるしかないなと気合いが入りました。

――映画の中で、最も心を動かされたシーン、お芝居などはありましたか。

三浦:僕はもう、一つしかないです。もう全てのシーンが最高でしたけれど、中でもこれ!というシーンがあるんです。撮影は朝早くから次の日の朝まで24時間くらい続いていたのですが、そのラストのときに、映司とアンクが再会するというカットを撮りました。僕がハーネスをつけて、さかさまに宙づり状態になるのですが、これは普通のドラマや映画では、あまりやることがないんですよ。でも、当時のアクションスタッフさんが補助をしてくれて、秀くんが僕の手を取って、みんなタイミングを全部わかってくれている感じ。みんなに助けてもらっているから、僕もスムーズに力を入れることなくできた。このシーンはすごくグッときましたね。

渡部:"出会い"のシーンが撮影の最後だったんですよね。撮影の日はすごい台風だったなあ。

三浦:そう。本当はロケで撮りたかったけれど、外に出られないから合成になったんです。

渡部:僕は、決戦のときにアンクが映司に「今日のぶんのアイスよこせ」って言うシーンがいいですね。短いやりとりの中で、映司とアンクの関係性がすごく出ていた。あのアイスのやりとりは僕から要望したんです。ああいった一言がアンクの真骨頂なんですよね。ただただ協力しているだけじゃなくて、憎たらしいかわいさがある。そんなアンクに利用されているようで、実は利用しているという映司の頭のいい部分。それがはっきり見えるシーンだったと思います。