黒部峡谷鉄道は16日、国土交通省へ旅客運賃改定の申請を行ったと発表した。実施予定日は2018年4月1日。旅客運賃は値上げされ、宇奈月~欅平間は現行の1,710円から1,980円(ともに大人片道)に変更される。あわせて貨物運賃の変更も行い、現行の1区間1トンあたり2,600円から3,000円に改定される。

黒部峡谷鉄道が運賃値上げへ(写真は2007年撮影)

富山県黒部市に本店を置く黒部峡谷鉄道の路線は、宇奈月駅(富山地方鉄道宇奈月温泉駅から徒歩5分)を起点に日本有数のV字峡谷を縫うように走り、欅平駅まで20.1kmを結ぶ。一般の利用者が乗降できる駅は宇奈月駅・黒薙駅・鐘釣駅・欅平駅の4駅。軌間762mmの区間を小さなトロッコ電車(定員制)が走る。営業運転期間は4月中旬から11月末までとされ(変更される場合あり)、冬の間は営業運転を休止する。

旅客運賃は2008年の運賃改定、2014年の消費税増税にともなう改定を経て、現在は宇奈月駅から黒薙駅まで大人片道570円、鐘釣駅まで大人片道1,210円、欅平駅まで大人片道1,710円。今回の旅客運賃改定で、宇奈月駅からの旅客運賃は黒薙駅まで大人片道660円(15.8%アップ)、鐘釣駅まで大人片道1,410円(16.5%アップ)、欅平駅まで大人片道1,980円(15.8%アップ)となり、各区間とも値上げに(小児運賃は大人の半額、10円単位切上げ)。貨物運賃は現行の1区間1トンあたり2,600円から3,000円(15.4%アップ)、小荷物運賃も現行の貸切扱い1トンあたり1万240円から1万1,860円(15.8%アップ)に値上げされる。

黒部峡谷鉄道は改定理由として、少子高齢化や景気低迷などによる利用者数の減少が顕著となる中、さまざまな増収策やコスト削減(人件費も含む)など経営努力に努めたものの、車両や橋梁の老朽化による維持管理費の増加も見込まれることから「コスト削減も限界に達し、平成30(2018)年度以降の収支内容が大幅に悪化する状況にあります」と説明。旅客運賃改定で収支改善を図るとともに、「鉄道事業の使命である『安全確保』を大前提に、一層のサービス向上に努めさせていただく所存でございます」としている。