10月28日から一般公開された「第45回 東京モーターショー2017」で異彩を放っているのがマツダだ。電動化の流れに反旗を翻すような「夢のエンジン」を発表するとともに、新世代の「魂動」(こどう)デザインも展示。これまでとは何が違うのか、会場でデザイナーに聞いた。
電動化だけではないモーターショーの見どころ
東京モーターショーが、先週土曜日から東京ビックサイトで一般公開されている。筆者は先週、水・木曜日のプレスデーでひと足先にチェックすることができた。同業者の話にもあったけれど、一言で言えば予想以上だったと思っている。
一部のマスメディアは電動化にしかスポットを当てなかったようだが、実際は、それ以外にも見どころがたくさんあった。その中で、個人的に印象に残ったのは“ジャパニーズ・ヘリテージ”の流れだ。
トヨタ自動車は超高級車「センチュリー」を21年ぶりにモデルチェンジし、ダイハツ工業は1960年代の大衆車の復刻版と言えるコンセプトカー「DN COMPAGNO」(DNコンパーノ)を出展。2輪車では本田技研工業が累計生産台数1億台を達成した「スーパーカブ」の新型、そして川崎重工業(カワサキ)は、1970年代に一世を風靡したスーパースポーツ「Z1」の復刻版と言える「Z900RS」を送り出した。
一方で、文字どおり我が道を行っていたブランドがあった。マツダだ。同社は2010年、「スカイアクティブテクノロジー」(SKYACTIV TECHNOLOGY)という新世代技術の投入を発表するとともに、コンセプトカーの「靭」(シナリ)を公開し、「魂動」(こどう)という新しいデザインテーマを提案した。今回は、この2つのテーマの新たなステップを展示していたのだ。
エンジンも展示したマツダの独自路線
このうちスカイアクティブについては、別の記事でテストコースでの試乗記事を紹介している。ガソリンとディーゼルの“いいとこ取り”といえる夢のエンジン、つまり、ガソリンを燃料としつつディーゼルのような圧縮点火方式を実現することで燃費性能を大幅に高めた「SKYACTIV-X」だ。
そこで今回は、もうひとつのトピックである魂動デザインの深化(進化ではない)について、コンセプトカーを紹介しながら解説していきたい。
今回のモーターショーでマツダは、「マツダ VISION COUPE」(ビジョン・クーペ)と「マツダ 魁(カイ) CONCEPT」(魁コンセプト)という2台のコンセプトカーを世界初公開した。
このうち魁コンセプトは、前述したSKYACTIV-Xや、スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャーと名付けた新世代プラットフォームを採用しており、次期「アクセラ」なのではないかという噂もある。純粋に魂動デザインの深化を表現したコンセプトカーはビジョン・クーペになる。