三菱航空機は10月24日、次世代リージョナルジェット機MRJ(Mitsubishi RegionalJet)に関するWEB情報発信ツール「MRJ Newsletter」第28号で進捗を発表。飛行試験機4号機は、8~9月にかけてアリゾナ州メサのフェニックス・メサ・ゲートウェイ空港で、最高気温42C(108°F)の中、自然環境下での極暑試験を実施したと報告している。

飛行試験機4号機を用い、自然環境下での極暑飛行試験を実施

極暑試験は、2017年初めにフロリダ州エグリン空軍基地のマッキンリー極限気候研究所で実施された試験の延長線上に位置づけられているもの。研究所での地上試験から得た試験データを評価し、環境制御システムを改善。酷暑の中で飛行試験を続ける準備を整え、今回の試験を実施した。極暑試験は順調に執り行われ、収集されたデータは、今後世界中のあらゆる温度条件でも快適な乗り心地を提供するべく更なる改善のために用いられる。

なお今回の第28号では、先進設計によりMRJの空力設計を最適化したことにも触れられている。空力設計は、多目的設計探査(MODE)を用いて行われる厳密な設計作業により実現。MODEは東北大学・三菱重工業・三菱航空機との共同研究により開発された先進的な設計手法であり、MODEを用いることでMRJの各種性能を視覚化し、設計者のトレードオフ検討を可能とする。MRJの設計において、MODEは主翼の低抵抗化と複合材構造の軽量化のための設計に活用され、環境へのインパクトを軽減できるという。

図中のカラーは高速飛行時の圧力分布を表示。青色部分が低圧力、赤色部分が高圧力を意味している。左図の青色部分は局所的な衝撃波(急激な圧力低下)を示しており、MODEによる最適設計を適用した結果(右図)、衝撃波が緩和され、空力抵抗の低下とバフェットリスクの低減を達成した

(c)2017 MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD. All Rights Reserved.