※2010/12/10掲載記事の再掲です。
私が悩み相談所を開設してから早6年が経とうとしており、これまでおよそ500名の相談者と接してきました。寄せられた悩みは十人十色ですが、共通しているテーマを大まかに分析すると、
1位 片思いで好きな人がいるけれども上手くいかない
2位 恋人がいる人を好きになったけれども思うようにいかない
3位 告白されて断られたけれども諦められない
4位 昔好きだった人で忘れられない人がいる
であることが分かりました。4位に挙げられた「昔好きだった人が忘れられない。どうすれば……」を今回テーマに選んだのも、多くの皆さんが過去好きだった人を忘れられずにいる実情が浮き彫りになったからです。
一歩踏み出すためには……
相談者から「忘れられない人がいる。どうすれば忘れられるか」という悩みを寄せられることは度々あります。今でも忘れられない人。ずっとずっと胸のなかにいる人。今となっては過去の存在なのでしょうが、いつまでも消えることなくたえず皆さんの心に残っているのでしょうね。
その人はかつての恋人だったかもしれません。振られてしまったあの人なのかもしれません。いずれにしても、かなり長い月日が経った今でもあの人を忘れ去ることができず、新しい一歩を踏み出せずにいるとしたら、毎日が苦しくて切ないですよね。そうやって相談を寄せてくださる皆さまに決まって申し上げている私の意見は次の通りです。
「連絡してみてはいかがでしょうか」
ずっと忘れられない人は、皆さんにとって過去の人間であるために、美化されている部分も大きいはずです。そして、今を生きているあの人とまた再会したい、また復縁したい欲望があるからこそ諦められずにいるのでしょう。だからこそ、あの人に連絡することはできませんか。
もしかしたら、最後に会った日から時間が流れ過ぎていて、どうやって連絡したら良いか躊躇しているのかもしれません。きっかけはなんでもいいのです。とにかく今を生きている現実のあの人に近づこうと具体的な行動を起こすことが大切なのです。案外、久しぶりに連絡を取ってみたことで、すんなりと受け入れてもらえることも多いかもしれません。
こんなケースがありました
ケースは少し違いますが、先日6年ぶりに中学時代の友人から電話が掛ってきて、とんとん拍子で6年ぶりに再会しました。19歳までは頻繁に遊んでいた仲でしたが、その後お互いの大学生活が多忙になり、自然消滅になっていました。私は6年経っても相手のことを忘れず、きっかけさえあれば会いたいと願っていたところに電話があり、お互いの思いが合致したというわけです。
実際に話してみたら、26歳になった今でも、当時の感覚と変わらず、とても楽しい一時を過ごすことができました。その友人も喜んでくれたようで、再会をきっかけに、今後も定期的に会おうという流れになりました。今では、数年ぶりに向こうから接触してきてくれたその友人に感謝しています。
また、2週間前にこんな出来事もありました。私が大学4年生のとき、教育実習先で出会った女性がいたのですが、携帯のメールアドレスを変更したことを知らせるために、5年ぶりにメールを送ったところ、自分のことを覚えてくれていてくれて、就職してからの近況を話してくれました。
5年の時間が経っていれば、さすがにもう連絡先も変わっているだろうし、教育実習のたった数週間の関係だから、自分のことなどすっかり脳裏から消え去っているだろうと想像していました。そのため自分の存在が相手の記憶に残っていた事実を知り、とても感動しました。
いざ連絡するまでは、勇気が要りますが、実際に行動を起こしてみたら、「思っていたよりも楽だった」ということが皆さんもありませんか。たとえ自分が期待していたような結果ではなかったとしても、過去の残像から脱却するために、一歩前進できたことはとても意味があると思います。
私はかつて振られてしまった女性のことがどうしても忘れられずに連絡しましたが、無視を貫かれたり、新しい恋人の話を聞かされて、「これなら連絡しない方が良かったかな~」なんて一瞬気が滅入りもしました。でも連絡をとって以来、その女性にたいする想いは薄れていきました。気持ちを切り替えるためには、過去の美しい思い出から、記憶を現実に塗り替える必要があったのです。
まったく接点がなくなった相手を忘れられない場合は……
皆さんの中には、連絡がとれるならとりたいけれど、相手の連絡先が分からず、もはや完全に相手との接点がないという方もいらっしゃるでしょう。そして行き場を失った想いに悩み続けている……。そんな方には、とことん相手との思い出に浸って、相手のことを常に考えつづける日々をもう少しだけ続けていただくようエールを送ります。
「なんて、薄情な! そんなことなら言われなくても、毎日繰り返しているよ」
と、落胆された方もいらっしゃるかもしれませんが、この方法は心理学的に見ても確かな効果があるようなのです。ある一定の時刻に、30分間ずっと同じ人のことだけを考えつづけたAさんと、30分間のうち15分間だけ同じ人のことを、残りの15分を違う人のことを考えつづけてもらったBさんとの実験では、1カ月後に歴然とした結果の差が出たそうです。
同じ人だけを想いつづけたAさんの方が、実験前に抱いていた相手への気持ちが薄れている実感が大きかったそうです。人間の脳は忘れるようになっているのと、同じことの連続には飽きるように作られているので、記憶に残っている相手の過去の残像を回顧しつづけることで、徐々に徐々に過去から未来に目が向くようになっていったのです。
また、自分の行き場のない気持ちを昇華させるためには、手紙やパソコンなどで相手への思いを包み隠さず書いてみることも、効果的な精神浄化作用になると思います。第三者に自分の気持ちを吐露したり、私が行っているように、コラムに自分の素直な想いを表現することで、かなり気持ちが整理されます。自分の気持ちを客観的に見つめ直したり、他者から判断してもらうことが、視野が変わるきっかけになるのです。
思い立ったが吉日
どうしても忘れられない人は私にもいます。今でもいるんです。この先何年経ってもずーっと忘れられないままなのかもしれません。それほど自分にとって大きな存在だったのでしょうから。その人との出会いがあったからこそ今の自分があるのですからね。
それでも過去は過去として、あの頃のことを「良き思い出」と振り返ることができたら、それは吹っ切れているあかしでしょう。忘れなくてもいいんです。忘れられないほど大きな存在だったのですから。もしもあなたのなかで少しでも「また会いたい」という気持ちがあったら、思い立ったが吉日です。行動してみてはいかがでしょうか。
文●TAKA氏 写真●ペイレスイメージCopyright(C)2010 paylessimages,Inc.All Right Reserved.
筆者プロフィール:TAKA氏
地方公務員として勤務する傍ら、ストレス発散や心の悩みを和らげるための憩い場を提供するリラクゼーションサイト「ラブステ」を運営中。恋愛に不器用な方や、孤独や不安に苛まれて明日を見失っている方を対象に、サイト内の相談所やメールを通じて、相談も受け付けている。自身の経験と傾聴のスタンスをもとに、6年間で約500名の相談者と対話した実績を持つ。