「街の中華屋さん」って、イイよね。お気に入りの店が近くにあったら毎日でも足を運んでしまいたくなる。大好きなメニューがある店だったらなおのこと。そんな店が東京・荻窪にある「中華屋 啓ちゃん」(東京都杉並区)だ。今回は、看板メニューの「木耳卵定食」をじっくり味わってきた。
荻窪の街に溶け込む、親しみやすい中華料理店
同店は、JR中央線「荻窪駅」北口を出て徒歩5分程度、賑やかな駅周辺からちょっと離れた住宅街にある。開店7年目のこの店、店名になっているご主人の「啓ちゃん」こと幸田啓さんは、もともとお客さんとして通っていた中野の人気中華料理店「尚ちゃんラーメン」で4年半働いていたそうだ。
ちなみに看板メニューの「木耳卵定食」(税込750円)は、「尚ちゃんラーメン」で出されていたメニューの味に、調味料のバランスなどでアレンジを加えたものなんだとか。タレの味付けを少し変えることで、「この街の味」にしているそうだ。そうか、東京都内でも、街によって住んでいる人の味付けの好みがあるんだなぁ。そんな中華屋さんがある荻窪に住んでいる人は幸せだね。
お客さんは地元在住の方から、メディアで取り上げられた記事を見て遠方から訪れる人もいるようで、連日いっぱいの様子。取材時も、平日の15時半にも関わらずお客さんがひっきりなしにやってきていた。通し営業ということもあるが、それにしてもこの人気ぶり。一体、その人気の秘訣はどこにあるのだろうか? 教えて! 啓ちゃん!(勝手に親しみを込めて)
「うちの店の特徴は、比較的手頃な値段で、お腹いっぱい食べられる量の多さです。ご飯も普通盛りで400g、チャーハンの大盛りは700gはあるので、ちゃんと1食で満足してもらえると思います」と、啓ちゃんは話してくれた。
なるほど。確かにコの字型のカウンターでは、たくさん食べそうな体格のいい男性がたっぷり盛られたチャーハンをおいしそうに頬ぼっていて、すでに満足そう。もちろん女性のお客さんもおり、老若男女問わず気軽に楽しんでいるようだ。
「木耳卵定食」は、家庭的だけどクセになる味
それでは、たくさんあるメニューの中から、「木耳卵定食」を注文しよう。改めて言うけど、キクラゲって「木耳」って書くんだぜ。知ってたかな? 俺は知らなかった、ライターなのに。まあそれはさておき、早速いただきます!
たっぷり、トロトロな卵の中に、おおぶりな木耳(以下、キクラゲ)、豚肉と玉ねぎが入っている。それらを箸で一気に持ち上げて頬張ると、口いっぱいに広がる優しい味。甘すぎずしょっぱすぎない、絶妙なタレによる味付けがたまらないのだ。
一見庶民的なメニューだが、家庭で真似しようとしてもできないはず。ピリッと辛いのは豆板醤がきいているからで、これは間違いなくご飯にピッタリ! ご飯が本当にたくさん盛られているのだが、このおかずだったら余裕で食べられる。キクラゲの歯ごたえ、卵の柔らかさ、シャキッとした玉ねぎの食感も楽しめて、どんどん箸が進む。これは常連になる人続出なわけだ。
2階には「飲むのが好きだったので、飲めるお店もやりたかった」とのことで、素敵なバー「Bar Soar」(19時~翌3時)も営業している。1階とは雰囲気がガラリと変わり、カウンターと奥にテーブル席がある洒落た店内には、酒瓶がズラリ並んでいて壮観だ。こちらも啓ちゃんが経営している。若いのになんてすごいんだ、啓ちゃん!
さらに、ランチタイムなどに1階が満席になることが多く、昼帯に2階を使ってカレー店「カレー屋3時まで。」(11時~15時)も営業しているというから、まさに店舗をフル稼働。こうした、地域の人においしいものを提供しようというサービス精神や感じのいい接客が、味のよさに直結しているのだな、と感じられた。庶民的な雰囲気、価格でありながらプロの味を堪能できる「中華屋 啓ちゃん」。ちょっと離れたところに住んでいる方でも、行ってみる価値あり!
●information
中華屋 啓ちゃん
住所: 東京都杉並区天沼3-31-35
営業時間: 11時30分~23時
定休日: 月曜日(「Bar Soar」「カレー屋3時まで。」も同様)