31回目にして大幅なリニューアルを図った『FNS27時間テレビ にほんのれきし』(フジテレビ系、9日18:30~10日21:24)の放送が終了した。生放送のダイナミズムを捨て収録にしたことで不安視する声もあったが、終わってみればおおむね好評で、視聴率も昨年の7.7%を上回る8.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。なかでも「最大の収穫」とも言うべきは、総合司会・ビートたけしをサポートしたキャプテン・村上信五(関ジャニ∞)の活躍だった。

村上は制作発表会見で、「(たけしに)ついていくのに精いっぱいですし、年齢が倍違うんですよね」と話したように、たけし70歳に対して村上35歳。干支が3回りするほど年上のレジェンドを相手に、あるときは敬意を持って「やめなさい」、あるときは雑に「コラッ、おじいちゃん!」。乱発される小ボケを1つとして受け流さず、ナイツの漫才を思わせる脱力的な笑いを生み出していた。

たけしが「勘がいいからね、この人。私なんか好きなこと言ってツッコミを待ってるだけだから」「(そのうち)ジャニーズ事務所の大看板になる」と絶賛したのは、やはりリップサービスではない。「ここまで俺をボケさせるとはたいしたものだ」と感じたからだろう。

『FNS27時間テレビ にほんのれきし』総合司会を務めたビートたけし

絶え間なくツッコミ続けるスキルと胆力

9日18時30分の番組スタートは、村上の一人舞台だった。しかし、27時間の幕開けという大役にも関わらず、村上は明らかにリラックスモード。セットを見渡し、「スゲェー」とひとり言をつぶやきながら階段を上った。

続くオープニングトークも、「まあ、歴史……個人的には好きですけども、多分知らないことのほうが多いですし、興味ない分野は削いできてしまっているところもあるので」と、気負いなし。まとまりのないコメントと、ゆったりとした話し方は、番組の尺を意識しないネットライブ動画を思わせるゆるさだった。そんな村上のMCスタンスが、「歴史」の持つ堅苦しいムードを取り払い、番組の間口を広げたのは間違いない。

さらに株を挙げたのは、FNS27局のアナウンサーやスタッフを愛情たっぷりにイジった『れきし自慢!大賞』。コーナー冒頭から、高知さんさんテレビの合田泰吾アナに「噛んどるやないか! だいたいタレントさんに第一声振るから。あんまり乱さんといてください」と強烈なツッコミを入れるなど、"初絡み"の人でも臆する様子はなかった。

その他、今回の『27時間テレビ』で村上がトークを交わした相手は、『日本人ルーツ顔探しの旅 世界で発見! 縄文顔×弥生顔』で加藤諒、横澤夏子ら、『さんまのお笑い向上委員会SP』で明石家さんまと31人の芸人たち、『免許皆伝』で南原清隆、永島優美アナら、『ニッポン道 室町ックJAPAN!』で、所ジョージ、林修、中川翔子ら、『村上信五とスポーツの神様たち』で金田正一、釜本邦茂ら、『めざましテレビ』で三宅正治アナ、伊野尾慧ら、『関ジャニ∞クロニクル』で関ジャニ∞、剛力彩芽ら、『学ぶヒストリー劇場 大地震と富士山噴火と人々と』で堤真一、島田彩夏アナら、『あの人の歩き方』で爆笑問題、筧利夫ら、『痛快TVスカッとジャパン』で内村光良、指原莉乃ら、『池上彰が見た! たけしと戦後ニッポン』で池上彰、高島彩ら、年齢とジャンルを超えた幅広い顔ぶれ。

たけしから地方局のアナウンサーまで、絶え間なくツッコミ続けたスキルと胆力は、掛け値なしで素晴らしかった。同時に、村上は今年の『27時間テレビ』でものすごい経験値を得たことになる。

なかでも印象的だったのは、『免許皆伝』で南原清隆が村上のトークをホメたシーン。南原から「相変わらず拾い上手だね」と持ち上げられた村上は、すかさず「汐留(日本テレビの『ヒルナンデス!』)ではお世話になりまして」と過剰に丁寧なお辞儀をした。それを受けた南原も「こちらこそ」と深々とお辞儀。視聴者に心地よいムードを感じさせつつ、笑いを誘う村上らしい切り返しだった。