大井川鐵道は4日、元西武鉄道の電気機関車E31形の営業運転デビューについて発表した。西武鉄道から大井川鐵道へ譲渡されたE31形はE32~E34の計3両あり、このうちE34が10月15日から営業運転を開始する。当日は「西武E31形デビュー記念 E34特別列車と撮影ツアー」と題した特別なツアーが実施される。

新金谷車両基地で出番を待つE34。後方にE32が並ぶ

小型直流用電気機関車E31形は1986~1987年に西武所沢車両工場で製造され、西武鉄道時代は保線用工事列車や貨物列車の牽引機として活躍した。2010年9月に西武鉄道から大井川鐵道へ譲渡され、それから約7年を経て、2017年度中の営業運転復活をめざし、整備を進めてきたという。10月15日のデビューが決まったE34に続き、E32・E33も整備が完了し次第、営業運転を開始する。

E34の営業運転初日に実施される「西武E31形デビュー記念 E34特別列車と撮影ツアー」では、旧型客車2両と展望客車(ツアー当日はフリースペースとして開放)の編成をE34が牽引し、新金谷駅を10時0分に発車。途中の家山駅で約30分間の長時間停車、通称「ドカ停」を行い、千頭駅に11時51分に到着する。千頭駅で車両特別撮影会が行われた後、13時39分に同駅を発車。復路では展望客車からE34のモーター音を聞けるため、「乗り鉄」「撮り鉄」だけでなく「音鉄」も楽しめるとのこと。新金谷駅には14時53分に到着し、参加者のみによる「あの車両との撮影会」(内容は当日発表)も行われる。

「西武E31形デビュー記念 E34特別列車と撮影ツアー」の募集人員は100名。9月15日9時から9月17日23時59分まで、大井川鐵道ホームページの専用フォームにて参加申込みを受け付け、応募多数の場合は抽選となる。1名あたりの旅行代金は大人1万3,000円・小人1万円(運賃・昼食弁当・記念品など含む)。貴重な写真をデザインした記念乗車券セットに加え、参加者しか手に入らない完全非売品の乗車記念品もプレゼントされる。

E31形は今後、SL列車の補助機関車や多客期の臨時列車の牽引機としての使用を予定している。大井川鐵道はE31形の営業運転化について「大井川本線で運用中の電気機関車3両(1949年製造2両、1956年製造1両)への負荷軽減や輸送安全性、快適性の向上が目的」とした上で、「今回さらに個性的な車両が第一線に加わることで、鉄道ファンのみならず、一般のお客様にも多彩な車両群をお楽しみいただけるものと確信しております」と説明。塗装については「当面、現行のまま(クリーム色に朱色の帯)」としている。