フランスと英国で、政府が内燃機関で走るクルマの販売を禁止するという方針を打ち出したとの報道を受けて、日産自動車の決算会見では、電動化に関して報道陣からの質問が相次いだ。電気自動車(EV)の販売で世界トップの日産は、政府主導で進む欧州の電動化をどう見ているのか。
第1四半期の業績は
フランス政府と英国政府が、ディーゼルエンジンあるいはガソリンエンジンで走るクルマ、つまりは内燃機関だけで動く自動車の販売を2040年までに禁止するとの方針を相次いで打ち出したことが注目を集める中、日産は7月27日に2017年度第1四半期の決算発表を行った。
日産の第1四半期決算について触れておくと、売上高は前年同期比4%増加の2兆7604億円、営業利益は同12.8%減少の1533億円という業績だった。グローバル販売台数は同5%増の135万1000台。日本では新たな電動パワートレイン「e-POWER」が評判の「ノート」や、「高速道路同一車線自動運転技術」の「プロパイロット」を初めて搭載した「セレナ」といった車種が好調で、販売台数を同45.6%増の13万1000台に伸ばした。営業利益を押し下げた要因として大きかったのは、米国市場の鈍化による販売経費の増加だ。
2016年11月のマイナーチェンジ以来、7カ月で累計10万台の販売を達成し、2017年上半期の国内販売でコンパクトカー分野のトップとなった「ノート」。新たに追加した新電動パワートレイン「e-POWER」が多くの顧客から高い評価を得ているという |
日産では米国の全需を昨年度並みの1750万台程度で推移すると見積もっていたが、足元の状況では、今年度の全需は1600万台後半で着地しそうな情勢とのこと。需要の減少が販売競争の激化を招き、値引きの原資となる販売奨励金(インセンティブ)が増加した結果、米国で販売経費が増えている。減益の要因としては、原材料費の上昇も効いているという。
決算発表の質疑応答では、クルマの電動化で業界トップのポジションを狙う日産に質問が相次いだ。