猫と暮らしていると「体調が悪いのかな」というサインが見られることがあります。基本的には少しでも変化があれば病院に相談した方が良いのですが、猫を病院に連れて行くのは半日がかりですし、連れていくことのストレスでかえって体調が悪化してしまうかもしれません。今回は「こんな症状の時は"必ず"病院へ」というケースを紹介します。

愛猫のちょっとした変化に病気のサインが隠れている

こんな症状が見られたら必ず病院へ!

・吐いた
人間とは違い猫は病気じゃなくても吐くことがあります。これはあまり噛まずに丸呑みにするネコ科の特徴であり、消化できない獲物の皮や、グルーミングで飲み込んだ自身の被毛を吐き出すためでもあります。

頻度が多いのは危険な嘔吐の特徴です。1日に3回も吐いたり、3日連続で吐いている場合は病気が隠れている可能性が高いでしょう。また問診では必ず「吐いた後に食欲があるか」を確認します。吐いてからぐったりして、食べる元気がないのも病気の特徴です。

・元気がない、食欲がない
「いつもは帰宅時に迎えにくるのにこない」など、元気がないのも病院に連れて行くか迷うかもしれません。そのほかに、いつもは5分で完食するのが半分しか口にしないなど、食欲の低下も判断が難しいところです。食欲や元気は個々の猫の性格、年齢などにも関係しているため、基準はありません。

そんな場合に判断の助けになるのが体重です。いつもの体重から10%以上減っていたら明らかに異常、5%以上で病気の可能性があります。そのためには日頃から体重を測っておくことが大切です。月に1度は愛猫と一緒に体重計に乗りましょう。

・下痢をした
私たちも病気でなくともお腹を崩すことはありますよね。食べ過ぎたり、お腹が冷えると猫も下痢をします。食欲があり元気にしていれば上記の2つの症状よりは緊急度は低いですが、長く続くようであれば心配です。

3日以上続くようであれば病院に行きましょう。しかし子猫が水のような下痢をしているのは特に危険です。子猫は体力がないため体調が悪化しやすいので早めに病院に連れて行ってあげましょう。

・トイレが長い
トイレに苦戦しているのは膀胱炎や便秘のサインです。特におしっこでトイレに何度も行っているのは尿道が詰まってしまっているかもしれません。尿道が詰まると、短時間で尿毒症(尿中に排泄されるべき老廃物が血液の中に蓄積される症候群)に陥り危険です。

高齢の猫で多いのが便秘です。高齢になると筋力がなくなり、トイレで踏ん張った時に倒れてしまうこともあります。便秘といえど侮ってはいけません。トイレが長いほか、ご飯を食べているのに3日以上出ていなければ病院へ行った方が良いでしょう。

まとめ

猫はポーカーフェイスなので、基本的には何かしら変化がでる頃には病気が隠れていることが多いです。個々の猫によって吐く頻度や、食欲は違います。ある猫はお皿を即座に空にしますが、半日かけてポリポリ食べ続ける猫もいます。

長年一緒に暮らすことで、愛猫の基準がわかってくるはずです。まだ飼い始めてまもない時期は、早めに病院に相談することをオススメします。一方長く暮らすことで症状に慣れてしまうこともあります。長生きしている猫ほど、体重や嘔吐の回数などを客観的に記録しておくと良いでしょう。

※写真はイメージ

著者プロフィール: 山本宗伸

獣医師。猫の病院 Syu Syu CAT Clinic で副院長を務めた後、マンハッタン猫専門病院で研修を積み帰国。現在は猫専門動物病院 Tokyo Cat Specialistsの院長を務めている。ブログ nekopeidaも毎月更新中。