では結局、更新と引っ越しは、どちらを選択するのがお得なのでしょうか。交渉次第で更新料の免除や、家賃が減額するのかどうかや、引っ越し費用や初期費用がどのくらい抑えられるかは、ケースバイケースと言えます。まず自分の場合はどちらがお得になりそうか、シミュレーションしてみましょう。ただし、一般的に引っ越し費用は更新にかかる費用より高くつくと考えられます。

また、引っ越しにはお金だけでなく、引っ越し業者の比較や荷造り、住所変更や各種手続きなどに時間と労力を使います。お金の面だけでなく、こうした手間がかかることを考慮する必要もあるでしょう。引っ越すことによって、賃貸契約を更新していては得られなかったメリットがあるかもしれません。更新より費用がかかったとしても、以前より快適に過ごせるならお金をかけた価値があるというものです。単純にどちらが安く済むかだけでなく、暮らしやすさなども含めて総合的に決めるのがベストでしょう。

損をしない引っ越しのタイミングとは

最後に、引っ越しをするとなったとき、できるだけ費用を抑えられるタイミングについて解説します。これまで住んでいた部屋を退去するには、契約書に定められた期限までに退去の告知をする必要があります。1カ月前までというところが多いですが、中には2カ月前までの場合もあるので、入居時の契約書を必ず確認してみましょう。

退去の日までは今の物件の家賃を支払うので、退去告知が早すぎたり新居の契約から入居まで時間がかかったりすると、二重に家賃を支払う期間が発生し、不要な出費がかさみます。退去から新居への入居は、できるだけスムーズに行えるよう調整しましょう。

賃貸物件に住んでいると、更新時期が来るたびに更新か引っ越しかの選択で悩むものですよね。とはいえ、更新は今の住環境を見直す機会にもなります。金銭面だけでなく、気持ちの面でも豊かに暮らせる選択肢を、是非考えてみましょう。

筆者プロフィール:武藤貴子
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。