女性ホルモンに着目した女性医療を提供するクリニックとして、ウィメンズヘルスクリニック東京が6月14日、東京都・丸の内にグランドオープンした。同日は院長の浜中聡子医師による「美しく年を重ねる ~『ホルモンバランス』の重要性について~」と題したセミナーも開催。女性ホルモンの役割や、その乱れが心身の不調とどのようにつながっているかを解説した。

ウィメンズヘルスクリニック東京の浜中聡子院長

同クリニックは「女性頭髪専門外来」「女性更年期外来」「美肌外来」など、女性ホルモンをテーマとした治療領域を拡充した医療機関。エストロゲンおよびプロゲステロンと呼ばれる2つのホルモンからなる女性ホルモンは、一生のうちでわずかスプーン1杯分の量しか分泌されないと言われている。

清潔感あふれるクリニック

メディカルアートメイクも施してもらえる

毛髪に関するカウンセリングを受ける女性

だが、それぞれのホルモンは女性の心身の健康を保つうえで、実に多くの役割を担っている。女性らしさを引き出すエストロゲンには「髪を豊かに保つ」「肌つやを維持する」「自律神経の安定」「子宮の働きを活発にする」といった働きがあり、女性が「母」になるための体をつくるプロゲステロンは「子宮内膜、子宮内の筋肉の働きを調整する」「睡眠の質をよくする」などの役割がある。

女性ホルモンの乱れによって起きるさまざまな不調

ホルモンバランスが乱れることで起こる具体的な症状

これだけ多種多様な役目があるだけに、女性ホルモンが乱れるとイライラや不眠、疲労感、肩こり、胃もたれ、頭痛などのさまざまな不調が出てくる。「一個一個の症状を見ると、整形外科へ行ったり、神経内科へ行ったりとほかの科に行ってしまいそうな症状」(浜中医師)ではあるが、その一見すると全く関連のなさそうなトラブルが、女性ホルモンを安定させることですべて解決する可能性もあるのだ。

女性は夏に体を冷やさない工夫を

そんな重要な女性ホルモンだが、加齢とともに分泌量が減少していくのは避けて通れない。減っていく分を補うにはホルモン補充療法などの選択肢があるが、浜中医師はその補充療法をするためには準備が必要だと指摘する。

「プレ更年期に差し掛かった段階で自分に何ができるのかを考え、実際に実行することが大事な先行投資になってきます。まずは運動ですね。皆さん、有酸素運動が重要なのはわかっていらっしゃいますが、年齢とともに筋肉量は落ちます。そうなると代謝が悪くなるので、太りやすくなります。そのため、ある程度筋肉を維持するための運動が必要になってきます」

具体的には有酸素運動に腹筋やスクワット、加圧トレーニングなどの無酸素運動を加えることが大切だという。食事面では炭水化物やたんぱく質などの5大栄養素をしっかりと摂取することが肝要とした。

毎日の生活の中で工夫して女性ホルモンへのケアを行おう

また、女性ホルモンを元気にするためには体温も重要な要素。浜中医師の下には35度台前半の女性が診察に来ることも珍しくないそうだが、最低でも36度以上を保つべきだとアドバイスを送る。

「夏バテだからと冷たいものを摂りすぎると、結局体調不良になる若い方もいらっしゃいます。意外と温かいものを普段から食べている方がいいんですね。ファッションに関しては暑いと袖から腕を出したくなりますが、1枚余分に着ていた方が体調は維持されます」

そのほか、「寝る前はスマートフォンやパソコン、テレビから離れる」「日付が変わる前にベッドに入る」「日々の生活の中で運動量を1.5倍にする」などがホルモン分泌を促す行動だと話した。

「健康リテラシーの向上」を目指すドック

さらに同クリニックは、グランドオープンに合わせてアンファーが統括プロデュースする「ハッピーエイジング・ドック」の提供を開始した。同クリニックと宮崎県のフェニックス・シーガイア・リゾートによる滞在型医療プログラムであるこのドックは、「健康リテラシーの向上」をコンセプトに掲げる。

同ドックは、健康と病気の間の段階である「未病」の質を高めることに焦点を当てている。期間中のプログラムを通じて生活改善への介入を行うことで、健康寿命を延伸させ、リタイア後のセカンドライフを元気に楽しく生き生きと過ごしてもらえることを目指すという。

具体的な流れはまず、事前にクリニックで問診・検査を行う。問診ではメンタル状態のチェックや現在の体の老化度、未来の健康状態を確認・予測する。その結果をもとに3泊4日のシーガイアでの滞在中に実践するプログラムを策定。そして陽光降り注ぐ宮崎の地で4日間を過ごしてもらった後、クリニックを再来院して実施前と数値を比較しながら健康習慣の定着を目指す流れになるとのこと。

「ハッピーエイジング・ドック」のフロー

体験型アクティビティやヨガなどを通じて心身をリセットさせる

3泊4日の滞在期間中は医師と栄養士、シェフが監修したその人に見合った食事が提供され、医師やトレーナーら専門家監修のアクティビティプログラムを体験できる。

「病気にはなりたくない、病院のお世話になりたくないと皆さん思っていても、きっかけがつかめず、どうしたらいいのかわかっていらっしゃらない方も多いです。無理なく、自分の生活に(健康的な習慣を)取り入れて継続させるにはどうしたらいいか考えたときに、一度リセットして非日常を体験してみるというのが一番スムーズな方法ではないのでしょうか」と浜中医師はこのプログラムの狙いを話す。

同ドックの予約開始は6月14日より開始しており、料金は1人あたり48万円(税別)。問診や検査場所は同クリニックもしくはメンズヘルスクリニック東京で行われる。