国民生活センターは5月11日、2012年度以降の約5年間で、脱毛施術によるトラブルの相談が964件寄せられていることを明らかにした。同センターが実施したアンケート調査でも、回答者の約4分の1が過去3年間に脱毛を受けた後にやけどや痛みなどの身体症状が生じたと訴えていることから、消費者に対して注意を呼びかけている。
脱毛施術に関する相談件数は、2013年度以降減少傾向だったが、昨年度は前年度同時期に比べて増加傾向がみられたとのこと。危害事例の内訳を調べると、エステで受けた脱毛に関するものが680件、医療機関で受けた脱毛に関するものが284件だったという。
脱毛の手法は複数あるが、レーザーなどで毛の発生源を破壊するといった高い効果が得られる脱毛は医療行為にあたるため、医療機関でしか施術が許されていない。エステでは光照射での一時的な除毛・減毛など、医療行為に該当しない範囲の施術しか行えない。
同センターが危害事例を施術の内容別に集計すると、エステでは「光脱毛」「レーザー脱毛」「電気脱毛」の順に件数が多くなっており、医療機関は「レーザー脱毛」が大部分を占めていたという。エステ、医療機関ともに「皮膚障害」と「熱傷」の危害が多く、発生した危害の治療に長期間を要した事例もあったとしている。
主な危害事例は以下の通り。
■毛穴に針を刺して毛根を熱で死滅させる永久脱毛の施術を受けたら赤く腫れあがった
■肛門周りの光脱毛でやけどを負い、完治まで1年以上かかることもあると言われた
■美容外科でひざ下のレーザー脱毛を受けたらやけどのように腫れ、色素沈着が残った
■レーザー脱毛を受けたらじんましんが出て、完治に半年かかると言われた
こういった現状を受け、同センターは消費者に向けて「エステで受けることのできる脱毛と医療機関で受けることのできる脱毛の違いをよく理解しましょう」とアドバイスを送っている。
さらに、ホームページや広告などの情報をそのまま信用するのではなく、「自ら十分な情報収集を行うとともに、施術前にリスク等に関する説明を十分に求めましょう」と注意を呼びかけている。