ライバルは少ない?
まず事業環境を見ておくと、国内の3列シートSUV市場は月間3000台程度の規模だという。ミニバンはどうかというと、よく街で見かける印象の車種であるにも関わらず、市場動向としては先細り感があるらしい。ミニバンに取って代わるように伸びているのがSUV市場だ。
3列シートSUVでCX-8のライバルとなりうる車種を考えてみると、例えば三菱自動車「アウトランダー」は7人乗りで、価格は253万8000円から328万4280円という設定。日産自動車「エクストレイル」は2列と3列を選べるが、3列タイプは248万5080円から297万1080円という価格設定だ。国産ではトヨタ自動車「ランドクルーザー」も3列だが少し毛色が違う。輸入車勢の3列シートSUVは価格帯が違うので、CX-8とは正面から競合しそうにない。
欠けていたピースを手に入れたマツダ
小型車の「デミオ」、コンパクトSUVの「CX-3」、セダンの「アテンザ」、スポーツカーのロードスターなど、さまざまな車種を取りそろえるマツダの新世代商品群だが、訴求できていなかったのが多人数乗車のニーズだ。
マツダファンであっても、時間がたてば外部環境は変化する。例えばロードスターでマツダファンになり、新世代商品群のクルマにも乗ってきたような人がいるとしても、その人が多人数乗車に適したクルマをマツダで探すとなった場合は、旧世代商品に属する「プレマシー」か「ビアンテ」しか選択肢がなかった。ここに登場するのがCX-8だ。ちなみに、プレマシーとビアンテの生産は2017年度で終了するという。
マツダ広報によると、新世代商品群に乗るユーザーからも、3列シートの新型車を望む声を聞くことがあったという。なのでCX-8は、ある程度は需要が見えている新型車だといってもいいだろう。あとは、ミニバンしか選択肢がないと思い込んでいる人に対し、このクルマをいかにして売り込むかが焦点となる。