阪神電気鉄道は27日、普通用車両5500系のリニューアルについて発表した。エクステリア・インテリアともにデザインを変更し、バリアフリー設備も拡充。鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞した新型車両5700系のサービス設備を一部採用した「リノベーション車両」に生まれ変わり、5月2日から営業運転を開始する。
普通用車両5500系は阪神・淡路大震災で被災した車両の代替車両として1995年に登場し、2000年までに計36両(4両編成×9編成)製造された。「アレグロブルー」「シルキーグレイ」のツートンカラーの車体で、同社初となるGTO-VVVFインバータ制御装置を採用。最高速度110km/h、加速度4.0km/h/s、減速度4.5km/h/sとされている。製造初年から20年以上経過していることを受け、車両の大幅リニューアルが行われることになった。
リニューアル後の5500系「リノベーション車両」のエクステリアは、普通用車両の伝統であるブルー系のツートンカラーを踏襲しつつ、塗り分け位置や扉部分の配色を刷新することで従来車両と識別しやすいデザインに。インテリアは新型車両5700系をベースにデザインされ、豊かな摂津灘をイメージした内装となり、吊り手にも海を連想させるブルーを配した。優先座席部は座席・吊り手ともに緑色に統一し、スペースを明確化している。
これまで1編成あたり2両に設置されていた車いす・ベビーカースペースは、今回のリニューアルで全4両に設置(先頭・最後尾車両に増設)され、扉開閉予告灯や誘導鈴も新設するなどバリアフリー設備が拡充された。空調運転時の車内の保冷・保温を目的に、新型車両5700系でも好評という扉個別開閉機能を持つボタンを車内・車外に設置している。
新設の液晶ディスプレイ式車内案内表示器では、停車駅などの情報に加え、事故による運転見合わせ・列車遅延をはじめとする運行情報の提供を開始する。今後は新型車両5700系でも列車運行情報の車内配信を行う予定だという。ホーム上の安全性向上を目的に転落防止幌の形状を変更し、災害などによる停電時の機能維持時間を延伸するために蓄電池の容量を増やすなど、信頼性・保安度の向上も図られた。
普通用車両5500系をリニューアルした「リノベーション車両」は5月2日から営業運転を開始し、2017年度は2編成8両を導入予定。その後も順次リニューアルを実施する。なお、2010年製造の普通用車両5550系については、今回はリニューアル対象外とのこと。