わがままな性格になるって本当!? 一人っ子のいいところ、注意すべきこと※写真はイメージ

最近は一人っ子も増えているが、やはり子どもが2人以上いる家庭は多い。国立社会保障・人口問題研究所の「第15回出生動向基本調査」(2015年)によれば、1977年以降はずっと、半数以上の夫婦が2人の子どもをうんでいる。

ママの中には「一人っ子はかわいそう」と思ったり、「二人目はまだ?」といった言葉を投げかけられて悩んだりしたことのある人もいるのではないだろうか。そこで今回は、心理カウンセラーの根本裕幸先生に、一人っ子のいいところ、注意すべきことについて聞いてみた。

一人っ子は自分らしさを発揮しやすい

根本先生によれば、一人っ子のいいところは、親から"ちゃんと愛されている"と感じやすい環境で育つことだという。「親2人からの目が届き、愛されている自信が生まれるので、自己肯定感が高まりやすく、自分らしさを大事にできる。自分の意見を持ちやすく、その結果、自己実現もしやすくなる」と根本先生。もちろん個人差はあり、親の状態によっても変わってくるが、多くの場合にいえることだという。

昨今、出産年齢の高齢化により、子育てをする親の所得は高くなり、教育費等にかけるお金に余裕がある家庭は少なくないが、一人っ子はその恩恵を受けやすい。おもちゃなども潤沢に与えられる傾向があり、しかもそれを弟や妹に横取りされることなく、100%自分の物にできる。他者に邪魔されることなく、自分のペースで遊びや勉強ができることで、独自の世界観を確立しやすく、自分らしさも発揮しやすくなる。

また、留学や習い事など、やりたいことをやらせてもらえる可能性も高い。夢を見つけやすく、さらにそれを後押ししてくれる環境が整いやすいといえる。

一人っ子はやっぱりわがままになる?

しかし「自分らしさを発揮することで、周りからわがままな人に見られることもある」と根本先生は指摘する。大人の社会に子どもが1人だけという状況では、子どもは人に合わせるシーンが少なくなる。特に親が子どもに甘く、何でも言うことを聞いてくれるような場合は、他人の意見を受け入れるのが難しくなって、わがままだと思われたり、周囲から浮いてしまったりする傾向もあるそうだ。

一方で兄弟・姉妹がいると、おもちゃの貸し借りや、お菓子を分けてあげるなどの共同作業が、家庭内でできる。ケンカができるのもメリットの一つであり、「ひどいことを言うと妹が泣く」とか「あまり思いっきり人を叩いてはいけない」などといった"子どもの社会"のルールを学ぶ機会も増えるだろう。根本先生は、「一人っ子が一番大変なのは、人間関係構築能力を身に付ける機会が少ないこと」と語った。

同年代の子どもたちと交わる機会を増やす

それでは、一人っ子の子どもに社会性を身に付けさせるには、どうしたらよいのだろうか。根本先生によれば、「同世代の子どもと交流する機会を意識的に増やす」のが最も効果的なのだとか。なるべく毎日、友達と遊び、子ども同士でコミュニケーションを取る機会を子どもに作ってあげよう。習い事に通わせたり、公園に遊びに連れて行ったりするのもいいだろう。保育園や学童保育だって、十分そうした場になってくれる。

いいところも、大変なところもある一人っ子。その子らしい生き方を応援するためにも、子どもが大人の社会ではなく、"子どもの社会"に触れる機会を作ってあげてほしい。

根本裕幸先生 プロフィール

心理カウンセラー。1972年生まれ。2000年、プロカウンセラーとしてデビューして以来、延べ1万5,000本以上のカウンセリングをこなす。2001年にカウンセリングサービス設立に寄与し、2003年から年間100本以上の講座やセミナーを行っている。2015年3月に退職し、独立。分かりやすさと明晰かつユニークな視点からの分析力、具体的な問題解決のための提案力に定評がある。著書は『こじれたココロのほぐし方』(リベラル社/2014年)、『愛されるのはどっち?』(リベラル社/2015年)他多数。各種テレビ、ラジオへの出演、制作協力も多数。