欧州での評判がグローバル戦略を左右
レクサスの2016年の世界販売は67万台。前年比4%増となり4年連続で過去最高を達成した。
そのうち、半数以上を占めるのは北米だが、台数は35万台と前年比4%減となった。これは、原油安の影響でピックアップトラックや大型SUVに需要がシフトしたことによるものだ。これに対し、中国では11万台と前年比25%増の伸びを示しており、日本でも前述のように5万台超えを果たした。
ただ、ブランドとしてのグローバル販売が67万台という数字は、やはり高級車ブランドのベンツやBMWが200万台近くであるだけに彼我の差は大きい。何と言っても、欧州ではハイブリッド車が浸透しつつあるものの苦戦しているのが実情だ。
やはり、欧州市場でレクサスを高級車ブランドとして認めさせ、市場に浸透させることこそがグローバル戦略の課題なのである。
社内7カンパニー制度に先行したレクサスインターナショナル
「レクサスインターナショナル」は、2012年6月にトヨタの社内カンパニー制度に先行する形でスタートした。そこには、豊田社長のグローバルブランド確立への並々ならぬ熱意があり、その後の7カンパニー制の導入で、このレクサスインターナショナルだけは豊田社長直轄という別格の位置づけとなった。
そのレクサスインターナショナルのプレジデントは、デザイナー出身の福市得雄トヨタ専務である。福市プレジデントは、初代「エスティマ」の開発で独特の卵型デザインを採用したことで知られる。
その意味では、今回の新型レクサス「LC」は、2012年のデトロイトモーターショーで発表したコンセプトカー「LF-LC」の革新的なデザインをモチーフとし、新開発プラットフォームによる骨格を活かすことで、走行性能と独創的なデザインでゴーサインが出たモデルだ。
レクサスの最上級クーペとして、ガソリン車「LC500」はV型8気筒5リッター、ハイブリッド車「LC500h」はV型6気筒3.5リッターで1,300万~1,450万円の価格設定。トヨタ元町工場にはLC専用の組み立てラインが新設されている。ジュネーブ国際モーターショーでカーデザイン賞を受賞し、目の肥えた欧州市場で好評価を得たという実績は、発売にあたっての起爆剤ともなる。
いずれにせよ、トヨタのトップ自らがレクサスブランドの変革を打ち出しており、今回のLC登場に続き、今年は旗艦車種である「LS」のフルモデルチェンジも予定されていることから見ても、今後もレクサスの動向には注目すべきだろう。