受けられるサービスと利用可能な条件がわかったとなれば、どれぐらいの回数を利用できるかも気になる点だ。この利用回数も、加入している保険によって変わってくる。

介護保険利用時……訪問看護の利用回数に制限はない。1回あたりの利用可能時間は「20分未満」「30分未満」「30分以上60分未満」「60分以上90分未満」の4種類がある。

医療保険利用時……訪問看護は週に1~3回まで利用でき、1回あたりの利用可能時間は30~90分。ただし、厚生労働大臣が認める特別な疾患に罹っている場合は、「週に4回以上」「1回あたり90分以上」などの利用が認められるといった特例もある。

訪問看護ステーションの地域差が課題

厚生労働省が旗振り役となり現在、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように支援する体制(地域包括ケアシステム)の構築が進められている。

訪問看護ステーションはその一翼をになう存在として、今後もますますニーズが高まると思われるが、課題はまだ山積している。その一つが「ステーション数の地域格差」だ。

「今まで病院でしか診られていなかった患者さんを、自宅でケアできるようになるということもあり、訪問看護のニーズは高まっています。そして、末期がんの患者さんのケアも対応できるような、レベルの高い訪問看護ステーションも増えてきています。ただし、訪問看護ステーションも病院同様、人口比に対して市町村間でばらつきがあるため、『必要なサービスが必要な人に届く』という点に関しては、まだ課題があると思います」

老老介護や認認介護が珍しくなくなった超高齢社会。自宅での24時間365日の看護・介護が続けば、支える側である家族の心身が破綻してしまう可能性も出てくる。そんなときに訪問看護を利用できれば、ほんのわずかでも自分だけの時間が持て、看護・介護の責務から解き放たれる。例え30分、1時間だけだったとしても、支える側にとっては大きな違いが出てくるはずだ。

支えられる側だけではなく、支える側のQOL向上という観点においても、訪問看護サービスが一日でも早く充足するよう、願ってやまない。

記事監修: UHC

東京日本橋にあるベンチャー企業、ユナイテッド・ヘルスコミュニケーション(通称UHC)。健康増進アプリ「Wity(ウィティ)」を開発する一方、大手製薬企業のコンテンツ開発を担うなど幅広く活動。社員は心理学、看護学、ロボット工学などの研究者・専門職が多数を占める。皆個性が強く不思議な空気感が漂うが、今日も仲良くお仕事中。