所沢航空発祥記念館(埼玉県所沢市)では4月9日まで、特別展「日本-仏蘭西・百年飛行の旅」を実施。同展示にはエールフランス航空も協力しており、1976年から2003年まで運航した世界最速の旅客機「コンコルド」の関連資料が、日本初公開を含む約40点展示されている。

日本初公開を含む、約40点「コンコルド」の関連資料を展示

同展示は、所沢ともゆかりの深いフランスをテーマに取り上げ、過去の歴史を紐解きながらフランスを旅するという趣旨で展開。明治43(1910)年、日本最初のパイロットのひとりである徳川好敏氏が飛行機の操縦技術を学びに行ったのがフランスであり、また、所沢飛行場で最初に飛んだことで有名なアンリ・ファルマン機もフランス製であったことも踏まえての展示となる。

展示では、アンリ・ファルマン機1/2スケールモデルやブレリオ機1/2スケールモデルのほか、徳川好敏氏のフランス渡航資料、フォール大佐肖像画(ポストカード)、エールフランス航空ポスター及びグッズなどを展示。ほかにも、日本で活躍したJAS塗装A300モデル、東亜国内航空TDA塗装A300(初号機バージョン)1/50スケールモデル、JALが導入を計画した幻のコンコルド1/50スケールモデル等の展示を行う。

コンコルドの機首は、空気抵抗を最小限にするために鋭くとがっている

展示でも紹介されているコンコルドは、高度1万8,000mを音速の2倍、時速2,200km(マッハ2.02)の超音速飛行でエールフランス航空では1976年から2003年まで運航した。時速2,200kmは現在の旅客機の2倍以上の速度となる。

コンコルドの機体は空気抵抗を最小限にするための鋭くとがった機首、音速を超える飛行を可能にする複雑な曲線を描くデルタ翼、細身のボディで構成。流麗な機体は「怪鳥」「美しい貴婦人」等とも呼ばれ、オールファーストクラスの92席の機内は、通路を挟んで両側に2席ずつ配置されていた。

機内はオールファーストクラスで全席92席

1976年就航時、機内のインテリアデザインはインダストリアルデザイナーのさきがけと称されるレイモンド・ローウィ氏が手がけた。その後、2000年には全面的に機内をリニューアルし、女性デザイナーのアンドレ・プットマン氏が担当し、柔らかなベージュとグレー、幾何学模様のカーペットなどで洗練されたエレガントなインテリアが誕生した。

パリとニューヨークを3時間55分で結ぶ定期航路の以外に、数時間のフライトから世界一周旅行まで、エールフランスでは希望によるフルオーダーメイドのコンコルドスペシャルフライトを世界中で運航。日本には1972年、羽田へのデモンストレーションフライトを含め5回来日、うち3回(1979、1986、1989)はフランス大統領専用機として、1990年には長崎旅博覧会に、1994年には関西国際空港の開港を記念して特別チャーター機が日本の旅行会社の手配で運航されている。

1976ジャン・パトゥデザインの制服

コンコルドの運航には、特別な訓練を受けた機長12人、副操縦士11人、航空機関士13人があたり、選び抜かれた客室乗務員男女76人がサービスを担当。客室乗務員の制服もコンコルド用に特別にデザインされ、初代はジャン・パトゥ氏、その後2000年には客室インテリアのリニューアルに合わせてニナ・リッチ氏のデザインに変わった。

コンコルドは、整備コストの増加や世界経済の変化により運航中止を決定。惜しまれながら2003年5月31日にパリ=ニューヨークのラストフライトを終えた。現在コンコルドは、アメリカのスミソニアン国立航空宇宙博物館、ドイツのジンスハイム自動車・技術博物館、及びフランスのル・ブルジェ航空宇宙博物館で展示されている。エールフランス航空本社に程近い、パリ、シャルル・ド・ゴール空港敷地内にも設置され、その機体を間近に見ることができる。

搭乗証明書や機内サービスのアイテム等も展示

コンコルド関連の主な展示物として、コンコルド搭乗証明書、コンコルドパンフレット、コンコルドメニューカード、コンコルド乗客へのギフト、コンコルド機内グッズ、コンコルド就航時の映像、コンコルド1/100スケールモデル、コンコルドのエンジンに使用されたオリンパス593のブレード、コンコルド客室内のデッサン、コンコルドの食器セット、ニナ・リッチ氏のユニフォームを着た人形などがある。

所沢航空発祥記念館(埼玉県所沢市並木1-13、県営所沢航空記念公園内)へは西武新宿線「航空公園駅」東口から徒歩約8分。入館料は、展示館が大人510円/小人100円、大型映像館が大人620円/小人260円、共通割引券が大人820円/小人310円。小学校就学前の児童、障害者は無料。休館日は毎週月曜日(月曜日が祝日ならその翌平日)。

(c)Air France