テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有選手をはじめ、断食を実践しているアスリートは多い。ダルビッシュ選手は自身のブログにて「体内のリセットを目的」に断食をしていると明かしているが、最新の研究は、このファスティングによるリセット機能が糖尿病にも影響を与える可能性を示唆している。
海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「ファスティングダイエットの利点」にまつわるコラムが掲載されたので、その内容を紹介しよう。
糖尿病の患者は、日本をはじめとする先進国によくみられ、英国では実に450万人が肥満に関連している2型糖尿病を患っていると推計されている。2型糖尿病は血糖値を調節するホルモン・インスリンの不足によって引き起こされ、治療法はない。さらに足の切断や腎臓疾患などの重篤な合併症に悩む患者も少なくない。
ただ、南カリフォルニア大学の研究者グループは、「数カ月にわたり『断食に近いような状況』を作れば、身体をリセット(再プログラム)できて糖尿病対策にも効果がある」と主張する。
マウスを使った実験では、マウスに糖尿病を引き起こす化学物質を注射した後、「飢えさせてから食事を与える」という状況を3度繰り返した結果、病状に変化が見られたという。
「断食期間を設けた後に元の生活に戻すと、すい臓の細胞が何らかの『発達再プログラミング』を使うようになり、機能していなかった組織の一部が再生するという結論に達した」と主任研究者のヴァルター・ロンゴ教授は語る。すい臓細胞の再生を活性化することにより、末期の1型および2型糖尿病のマウスを救えたという。
ケンブリッジ大学のアン・クック教授も、このマウスを使った実験に興味を抱いており、将来は2型糖尿病患者や、潜在的には1型糖尿病患者も治療できるようになる可能性があるとの見解を示している。一方で、「今回の結果は糖尿病治療の助けになるだろうが、マウスと同様に人間でも同様の機能が働くかについてはさらに研究する必要がある」とも話している。
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記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)
米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。