1,700万台レベルは維持の見通し

1,755万台という過去最高の新車販売を記録した米国市場は、さすがにピークを過ぎた感は免れないが、それでも2017年の見通しは「1,720万台程度になる」(トヨタ自動車)、「しばらくは堅調な状態が続き、1,700万台レベルは維持する」(日産自動車)との見方が出ている。

米国の新車市場は、小型車販売にやや陰りが見えてインセンティブ競争が激化した一方で、ガソリン安を背景にピックアップトラックや大型SUVの売れ行きは好調を続けている。昨年のガソリン価格は、全米平均で1ガロン(約3.8リットル)あたり2.143ドル(約248円)とここ数年で最も安く推移した。

米国のSUVセグメントでは日産「エクストレイル」(画像)の兄弟車である「ローグ」も人気だ

金利についても、米国自動車市場はユーザーの8割がローンとリースとされる中で、米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを加速すると、消費に影響する懸念もあるが、「影響は限定的にとどまる」(トヨタ)との見方がある。

むしろ、原油安を背景に大型クラスのSUVやピックアップトラックの需要が旺盛になり、また「ミレニアル世代」と呼ばれる10代後半から30代前半の若者の新規購入が需要を下支えするとの見方も出ている。

米国史上最多の雇用を生み出すというトランプ大統領

トランプ大統領は就任後、「日米自動車貿易の不公平」発言をした直後に、GMやフォードといった米国自動車メーカーの首脳と朝食会を開催。大胆な規制緩和や減税策を進める方針を表明したが、どうも手のひらを返すようなしたたかさを感じる。「米国で売るクルマは米国でつくれ」という考えに、自動車メーカーを寄り添わせるための発言かと思われるのだ。

それでも、米国でクルマが売れるような政策を打ってもらうことが何よりも前提であり、それも雇用につながるのだから、トランプ大統領の米国景気の活況施策に、乞うご期待といったところだろう。