JTBは12月5日、「年末年始の旅行動向アンケート」の結果を発表した。調査は11月2日~14日、航空会社の予約状況や業界動向、同社グループの販売状況のほか、15歳~79歳の男女1,200名を対象に行われた訪問調査の結果から、推計してまとめている。
アンケート調査によると、年末年始旅行にかける一人あたりの費用は「2万円以下」が最も多く、昨年より6.3pt増の49.4%となった。以降、「~5万円」(14.9%)、「~3万円」(11.5%)、「~10万円」(7.4%)と続いた。
海外旅行者数は増加するも、旅費は減少
日本政府観光局が11月に発表したデータによると、日本人の出国者数は2016年に入ってから増加に転じており、1月~10月までの累計は4.8%増の1,417万6,600人となっているという。今年4月以降の燃油サーチャージ0円や、為替レートが円高傾向になってきたことなど、海外旅行へ行きやすい環境になっていることが背景として伺えた。
このような状況から、「引き続き海外旅行への意欲は高く、年末年始期間においても海外旅行人数は増加する」と同社は予測。また、長期の休みを取らずに行ける中・近距離の旅行や、料金の安い時期を選んで旅行する人も多いとみられることから、2016~2017年年末年始の海外旅行平均費用は20万7,000円(前年比-4.7%)、海外旅行人数は64.6万人(同+3.3%)と予測した。
同社海外パッケージツアー「ルックJTB」の予約状況を見ると、出発日は、12月29日(木)、30日(金)がピーク。また、ハワイやアジア方面では12月23日(祝)の出発も多く見受けられ、年内に出発し年内に帰国する人も多いよう。
人気の方面は、ハワイや近距離アジア(韓国、台湾など)、シンガポールなど。ヨーロッパ方面は昨年に比べると復調傾向にあり、18年ぶりにイベリア航空の直行便が就航したスペインのほか、この時期ならではの旅行が楽しめる北欧も人気とのこと。
国内旅行は、旅行者数・旅費ともに減少
一方、国内旅行は昨年に比べて減少傾向にあり、観光庁「宿泊旅行統計調査」では、日本人の延べ宿泊者数は1月~9月の累計で前年比95.6%、総務省「家計調査」における宿泊料の項目でも、10月は前年同月比81.9%だった。
また、アンケートによると、国内旅行の利用交通機関については、ガソリン代上昇の影響から「乗用車」(66.9%)が前年比で2.1ポイント減少し、「高速・長距離バス」(8.1%、同+3.7pt)や「LCC」(1.4%、同+0.8pt)の利用が増加。
このように、旅行支出に対して慎重な面が見受けられたことから、2016~2017年年末年始の国内旅行平均費用は3万900円(前年比-9.6%)と予測。また、国内旅行人数は2,930万人(同-2.2%)と予測した。
さらに、海外を除いて、最も遠くへ行く旅行の出発日を聞くと、12月31日(土)が21.6%で最多に。次いで、12月30日(金)が13.5%、12月29日(木)が11.5%となった。
同社国内パッケージツアー「エースJTB首都圏発」の予約状況を見ると、クリスマスを含む3連休の12月23日(祝)、24日(土)も東京ディズニーリゾートRや伊豆・箱根方面など、近場を中心に予約が多くなっている。また、今年3月に北海道新幹線が開業したことから、函館を中心とした道南も人気とのこと。