JR西日本は3日、吹田総合車両所森ノ宮支所にて、大阪環状線・JRゆめ咲線(桜島線)専用新型車両323系の一般公開を実施した。323系は12月24日にデビューする予定。一般公開では、323系LS01編成を使って車内公開と試乗会が行われたほか、323系LS02編成・LS03編成が103系2編成とともに記念写真用として展示された。

大阪環状線323系を一般公開。LS01編成の車内見学に多くの参加者が並ぶ

新型車両323系は、大阪環状線・JRゆめ咲線(桜島線)で現在活躍中の103系・201系を置き換えるために導入される。最終的に8両編成を21本、計168両が投入される予定だ。外観の大きな特徴として、20mの通勤電車でありながら片側3扉であることが挙げられる。大和路線から乗り入れる221系、阪和線から乗り入れる223系・225系と同じ20m・3扉の車両に統一することで、検討が進められているホームドアの導入が可能となる。

323系の車内に入ると、JR西日本の通勤形電車をベースにしながら、従来にはない工夫が随所に施されていることが確認できる。最後尾の8号車は大阪駅御堂筋口にあたる混雑車両のため、ドア横のスペースが大きく広げられている。また、車内を監視するためのカメラが設置されたのも大きな特徴といえる。4号車の女性専用車は赤みがかった照明となっており、ひと目で女性専用車だと判別できるようになっている。

新型車両323系2編成と既存車両103系2編成が並んで展示された

優先座席には取っ手が設置され、誰でも簡単に立つことができる。乗降をスムーズに行えるように、座席端部の仕切り板は斜めになっており、座席部分には肘掛けが設置されている。こうしたこだわりは座席部分だけにとどまらない。たとえば、貫通路の取っ手は開けやすいように新規設計になっている。JR西日本の担当者によると、「従来の取っ手だと開けにくいという声があり、新規に設計しました」とのこと。このように、323系は誰にとっても使いやすい車両となった。

今回の一般公開には、応募総数1万2,096名の中から抽選で選ばれた計1,000名が参加した(参加倍率12.1倍)。来場者は323系の車内を思い思いに撮影し、じっくりと座り心地を楽しんでいる様子だった。とくに高さが異なるつり革やドア周辺のスペースに関心が集まっていた。323系のミニ試乗会も行われ、森ノ宮支所の構内を走行した。加速はスムーズで快適な乗り心地となり、参加者も乗り心地に満足していた様子だった。

大阪環状線・JRゆめ咲線(桜島線)専用新型車両323系は12月24日に1編成、翌25日に3編成が導入される予定とのこと。なお、今月の323系デビュー後も、森ノ宮支所所属の103系に動きはなく、引退は来年になる模様だ。

新型車両323系の車内。斜めに設置された仕切り板、優先座席の取っ手、アシストレバー付きの貫通扉、識別性を高めた女性専用車の照明など、細かいこだわりが随所に施されている

新型車両323系の外観