開発は日米をはじめとするグローバル開発チームを主体に、ボディはアメリカ、パワートレインは日本、さらにテストなどには欧州の研究所のメンバーも加わり、日米欧の共同で進められた。

モーターというのは大きなトルクを瞬間的に出すことができるゆえ、ステアリングフィールやクルマの挙動に大きく影響を与えるので、それをいかに違和感なく仕上げるかも問題。そのあたり一連のパワートレインの協調制御こそ、他のスーパースポーツに対するNSXのもっともチャレンジングな部分であると開発関係者も述べている。

様々な課題をクリアして発売に至った今回のNSX

ホンダの方向性を明確にするのがNSXの使命

ただし、世界に類のないシステムとはいえ、すべての技術は他のクルマにも展開できるものであり、ホンダが目指す方向性を象徴している。ホンダにとってNSXとは、単に高性能なスーパースポーツではなく、その時その時において新しい扉を開けていくクルマという使命を負っているわけだ。

なお、生産はアメリカの専用工場で行なわれ、日本には年間100台のみが導入される。また、2,370万円という価格に驚いた人も少なくないだろう。これも当初はもっと低く抑えられるはずだったが、前述のような経緯を経た結果、こうなった。それも時代背景を象徴するひとつの側面といえる。まずは、日本のメーカーからもこうした本格的なスーパースポーツが誕生したことに賛辞を贈ろうではないか。