「フケが目立つのが怖くて濃い色の服が着られない」などの悩みを抱えた経験はないだろうか。そもそも毎日シャンプーして頭皮も髪も清潔にしているはずなのに、なぜフケが出るのか。その原因と改善法を皮膚科医であるメンズヘルスクリニック東京の竹中洋史先生に伺った。

シャンプーとフケの関係性とは

「乾性フケ」と「脂性フケ」の特徴を知って正しく対処

まず、フケは大きく下記の「乾性落屑(かんせいらくせつ)」と「脂性落屑(しせいらくせつ)」の2つに大別できる。それぞれの状態や原因、対策を整理しておこう。

乾性落屑

状態: 一般的に「乾性フケ」とも呼ばれるもので、乾燥したフケが出る状態。

原因: 「シャンプーのしすぎ」「間違ったシャンプーの仕方による頭皮の乾燥や荒れ」など。ブラシで頭皮をゴシゴシと刺激したり、爪を立てて洗ったりすると、頭皮が無理にはがれトラブルの原因となる。

対策: シャンプーは1日1回を基本とし、指の腹を使って優しく洗うように。使用するシャンプーはアミノ酸系のシャンプーがおすすめ。ベビー用シャンプーや敏感肌用のシャンプーでもOKだ。

脂性落屑

状態: 一般的に「脂性フケ」とも呼ばれるもので、ベトベトとしたフケが出る状態。

原因: 頭皮の皮脂バランスが崩れ、皮脂が増えたことが原因。私たちの体内には、常在菌であるマラセチアという真菌の一種が存在するが、このマラセチアは皮脂が栄養源。皮脂が増えると、それを好物とするマラセチアが増殖して頭皮を荒らしてしまう。これは「脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん=湿疹)」が発症している状態となる。

対策: 「ミコナゾール配合のシャンプーを利用する」「ステロイドやニゾラールなどを配合したクリーム・ローションなどを医師から処方してもらう」などの方法がある。いずれも、一度皮膚科の診断を受けたほうがよい。

「肌タイプ」は一概に言えない

「私は乾燥肌だから、脂漏性皮膚炎じゃない」と思い込んでしまう女性も多いそうだが、「そこが頭皮トラブルの難しいところ」と竹中先生は指摘する。

人間の体は、皮脂が多い部分と少ない部分があるため、一概に「私は乾燥肌」「私は脂性肌」と言い切れないという。例えば、腕や脚はカサカサしていても、顔のTゾーンや脇、鼠径(そけい)部などは脂っぽいという場合も多々ある。頭も皮脂が多いため「脂漏性皮膚炎」になりやすいというわけ。予防策としてはビタミンB群を積極的に摂(と)り、バランスのとれた食生活を送ることが第一。

今現在、フケが気になる程度なら以下の2点を早速実践してみよう。

頭皮を強くこする洗い方を止めて、優しくシャンプーする

ベビー用、敏感肌用など、低刺激シャンプーに変えてみる

この2つを試してそれでも改善されないようならば、「皮膚科の診断を受ける」とステップを踏んで判断をするように。竹中先生によると、「軽いフケだったら洗い方やシャンプーをまず見直してみる。かゆみが続くようなら医師の診断を仰ぐ」というのが、判断のボーダーラインのようだ。

そしてもう一つ、頭皮の隠れた悩みとして聞かれるのが「イボ」だ。医学的には「老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)」、または「脂漏性角化症(しろうせいかっかしょう)」と呼ばれる。

イボの原因は明確には解明されておらず、老化や日光の当たりすぎなどが考えられている。予防も直射日光を避ける程度しかなく、できてしまってからの対処法も病院やクリニックで除去するしかないのが現状だ。

ただし、除去法としてはメスや液体窒素、レーザーなどがあり、保険適用もそれぞれ異なるため、いざというときは医師と相談して決めるようにしよう。

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