乳がんへの意識が高く、毎年きちんとマンモグラフィを受けていて「異常なし」と診断されていたのに、自分でしこりを見つけて病院へ行ったら、早期ではない乳がんが見つかったとしたら……。泣くに泣けないだろう。だが、実際にそのようなケースが起こりうる可能性はある。女性にとっては、恐怖以外の何物でもないだろう。
確実な検診にするためにやるべきこと
マンモグラフィを受けると、診断画像から「脂肪性」「乳腺散在」「不均一高濃度」「高濃度」の4段階に分けられる。このうち、「不均一高濃度」と「高濃度」がデンスブレストで、しこりが見えにくいタイプとなる。
デンスブレストの場合、「異常なし」は「マンモグラフィには映っていなかった」という意味で、「しこりがない」とは言い切れない。超音波検査も併用した方がいいのだが、自治体や企業検診、自由検診でも、デンスブレストか否かが女性に知らされることはあまりなかった。
ではどうすればいいのか。マンモグラフィ検診の結果が異常なしでも、「私の乳房はデンスブレストではありませんか? 」と、病院や自治体の検査機関に問い合わせよう。
診断のときすでに4段階に分類されているので、調べればすぐにわかる。たとえ面倒くさがられても、自分を守るためであり、検診した自分の乳腺情報を教えてくれないこと自体、おかしな話でもある。そして、もしデンスブレストならば、実費でも超音波を追加してほしい。
デンスブレストの問題は、アメリカではすでに「Are You Dens? 」という運動として広がっていて、マンモグラフィでデンスブレストと診断された人には、そのことを伝えて超音波検診の追加推奨を義務づける法整備をしている州が増えている。日本にはそのような法律はないが、2016年に大手一般紙の1面にデンスブレストの問題提起がなされたことをきっかけに、施設や自治体が少しずつ動き出している。
ただ、もしもデンスブレストだった場合、マンモグラフィはしなくていいのかというと、そうではない。マンモグラフィは、しこりにならず微細石灰化として見えるがんを見つけ出すのが得意だからだ。
真実を知らなければ、せっかくの乳がん検診も中途半端なものになってしまう。デンスブレストの事実を周りの人にも教え、もしもデンスブレストとわかったら、マンモグラフィと超音波を併用するか、両方を交代で受けるとよい。そして乳がん検診で「異常なし」と言われても、何か乳房に変化があったら、迷わず病院へ行き、「検診」ではなく「検査」をするようにしよう。
最後に、デンスブレストについて詳しく知りたい人は、NPO法人乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)のサイトをチェックするように。