メイクを落とさずに寝てしまった場合の緊急対処法は?

働く女性の皆さん、ついメイクを落とさないで寝ちゃう日はないだろうか。眠気に負けてしまったとき、職場で徹夜になったとき……状況はさまざまだが、どんな美容本にも「メイクは必ず落とす」という注意点が書いてある。恐らく、メイクを落とさない行為が肌によくないことを知らない女性はいないはずだ。

そこで今回は、皮膚科・美容皮膚科の中村仁美医師に、メイクを落とさないで寝ることによる肌ダメージとその対処法、正しいメイク落としの方法についてお聞きした。

――メイクを落とさないで寝ると、どんな肌トラブルが起こりますか?

化粧品の中でも特にファンデーションには、皮膚との密着性を高めるために、油性の成分が使用されています。それらを長時間放置しておくと、汗・皮脂・ほこりなどと混ざり、細胞にダメージを与える活性酸素を出し、過酸化脂質に変化していきます。そして、その汚れが毛穴に詰まった状態となり、皮膚の細胞の新陳代謝も妨げられてしまうので、最終的にくすみや肌の老化へとつながってしまいます。

また、長時間メイクを落とさずにいると、皮膚表面の雑菌繁殖にもつながり、ニキビなどのさまざまな炎症を皮膚に起こしてしまいます。雑菌を繁殖させないためにも、眠る前にはしっかりとメイクを落としておくことが大切です。

――メイク落としシートやクレンジング剤などで、おすすめはありますか? また、ダブル洗顔はしたほうがいいですか?

クレンジングでは、とにかく摩擦をしないことが大切です。クリームタイプ、オイルタイプ、ジェルタイプなどいろいろ種類はありますが、優しく洗える泡タイプをおすすめします。

また、クレンジングを行う際は、手のひらではなく指先を使うようにしましょう。手のひらは力が入りやすく、そのままゴシゴシこすると、自分で思っている以上に肌へ摩擦による負担がかかり、色素沈着や肝斑などの原因になります。

メイク落としシートやオイルクレンジングは、使用方法に注意しないと摩擦をしすぎることがあります。もし使用する場合には、メイクとなじませるために少し時間をおき、優しく洗い流してください。

油分の多いクレンジングクリームなどを使用する場合は、クレンジングクリームでメイク(油分)を落としたあとに石けんで皮膚表面の汚れ(汗・ほこり・古い角質)を洗浄する2段階での洗顔、つまりダブル洗顔を行うようにしましょう。「ダブル洗顔が不要」と書かれている洗顔料に関しては、クレンジング機能と洗浄機能の両方を持ち合わせているという意味ですので、ダブル洗顔の必要はありません。

――メイク用品によって、落とし方のポイントがあったら教えてください。

目元や口元などにしっかりメイクをしている場合は、ベースメイクを落とすメイク落としとは別に専用のポイントメイクリムーバーを用意して、そちらで目元や口元のクレンジングをしましょう。その場合も、こすらないように優しくクレンジングをしてください。

――メイクを落とさずに寝てしまった場合、もしくは落とさずに徹夜になってしまった場合などに、トラブルを最小限におさえる方法があったら教えてください。

可能な限り、すぐにメイクを上記の方法で落としてください(この場合はダブル洗顔を除く)。そして、蒸気などで毛穴を開かせ、毛穴に詰まった汚れ(主に角質・皮脂・ほこり)を酵素タイプの洗顔料などで十分に落としたあとに、よく泡立てたピーリングソープで洗い、すすぎを十分に行うとよいでしょう。

ただし、敏感肌や乾燥肌の方には刺激になってしまったり、乾燥しすぎてしまったりする可能性があります。肌の様子を見ながら、酵素タイプの洗顔料あるいはピーリングソープのどちらかにするか、洗顔を行ったあとはいつも以上に十分に保湿を行いましょう。

セルフケア以外では、ディープクレンジングやピーリングなどの施術を美容皮膚科で受けることもおすすめです。上記の対応でもニキビなどの肌荒れを起こしてしまった場合は、なるべく早く皮膚科・美容皮膚科を受診してくださいね。

※写真と本文は関係ありません

取材協力: 中村仁美(ナカムラ・ヒトミ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。En女医会所属。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。