美しい歯並びには誰しもあこがれるもの。そして、美しい歯並びにするための手段としては歯列矯正がある。歯列矯正には費用も時間もかかるイメージがあるかもしれないが、具体的にどれくらいになるのかを知っている人は少数派ではないだろうか。
今回は、歯列矯正の種類や治療にかかる期間や費用について、M.I.H.O.矯正歯科クリニックの今村美穂医師に話を聞いた。
歯列矯正の主な種類
歯列矯正にはいくつかの種類があるため、それぞれの特徴を紹介していこう。
■表側矯正
歯の表側にワイヤーなどを装着する手法で、最もオーソドックスなタイプ。表側矯正の場合、ブラケットと呼ばれる歯に装着する器具やワイヤーが目立つのが難点ではあるが、ほかの方法に比べ費用を抑えられるメリットがある。
■裏側矯正
「舌側矯正」とも呼ばれ、装置を歯の裏側につけるために治療中であることが気づかれにくい特徴がある。しかし、表側矯正に比べて複雑で細かい調整が必要になり、装着に要する時間も長くなる。また、費用面でも表側矯正に比べて1.2~1.5倍ほどになることが多い。
■ハーフリンガル矯正
下の歯は表側矯正でも目立ちにくいため、上の歯は裏側、下の歯は表側と歯の上下で矯正方法を変えた方法。
表側矯正で治療できるケースであれば裏側矯正も可能な場合が多いが、ゴムなどをかける装置を表にも装着することも知ってほしい。「接客業などで目立ってしまう治療法はちょっと……」とためらっている人は、裏側矯正を検討してみるのもよいだろう。
それぞれ特徴が異なる器具
歯列矯正に使用する器具にもいくつか種類があるので、主だったものをまとめた。
メタルブラケット
表側矯正で最も一般的なタイプになる。強度に優れて治療効果が高く衛生面にも優れている一方で、金属なのでブラケットが目立ってしまうのが難点だ。セラミックブラケットであれば、ブラケットがセラミックやコンポジットでできたクリアタイプなので、メタルブラケットよりは目立ちにくくなる。
リンガルブラケット
裏側矯正の場合に用いられる金属製の矯正装置。金属製ではあるが表側からは見えないので、矯正中の審美性が高い。しかし、歯の内側に装置を付けるため、舌などに触れて慣れるまで会話や食事などに違和感を覚える人もいる。
クリアライナー
ブラケットを使用せず、クリアライナーと呼ばれる患者の口に合わせた透明なトレーを製作し、1日20時間ほど装着する治療法。口内の状態に合わせたトレーを毎月作り直して新たな治療ステップへと進めていき、少しずつ歯を動かしていく。矯正治療をしていることを気づかれにくいが、毎日の使用時間が長く、守れないと治療期間の長期化にもつながる。また、歯列や咬合(こうごう)の状態によってはこの治療法で対応できない場合もある。
特にクリアライナーの場合、「インビザライン・クリアライナー」と呼ばれるタイプであれば、術前の模型1回で治療終了までの全ステップのトレーを作成可能。ただ、治療途中に虫歯治療などで口腔(こうくう)内の状態が変化すると再度模型の作り直しになってしまうことを覚えておこう。