自動車メーカーとIT企業、考え方には違いも

トヨタとUberの関係性を巡っては、周辺で気になる動きも出てきた。中国吉利汽車傘下でスウェーデンに本拠を置くボルボが先月、Uberと自動運転車を共同開発すると発表したのだ。発表内容はトヨタより具体的で、ボルボは3億ドルを投資し、ベース車両を提供。Uberがそこに独自開発の自動運転システムを組み込む。ボルボとUberは同一のベース車両を、自動運転車戦略の次のステップに活用したいという。

Uberはボルボとも手を組んだ(画像はボルボHPより)

自動車ビジネスは、完成車を作るメーカーが頂点に立ち、その下にサプライヤーと呼ばれる部品メーカーなどが位置する、垂直統合の体制を取ってきた。トヨタも例外ではなく、デンソーやアイシン精機などの一次サプライヤー(tier1)を直下に置き、その下にtier2、tier3というサプライチェーンを築いてきた。

しかし、UberなどのIT企業が展開しているのは水平連合型だ。Uberの場合、個々のドライバーや車両を管理しているわけではなく、ネットワーク上でのつながりという関係を築いている。GoogleのアンドロイドOSとスマートフォンの関係も同じだ。

つまりトヨタとUberが資本提携を結んだからといって、Uberがトヨタ・グループの一員になったわけではない。だからボルボとも手を結ぶのは自然な流れだ。Uberがすぐにトヨタとの提携を打ち切るとは考えにくいが、提携するメーカーが2社に増えたことで、主導権はUberの手に渡ったような気がする。Uberとの関係を密に保つためにも、トヨタの次の一手が注目される。