出産のためにいくら貯蓄しておけばいい?

では、出産にはどの程度の貯蓄を準備した方がいいのでしょうか。ライフネット生命が実施した妊娠・出産にかかった費用に関するアンケート(2013年2月28日~3月4日、25~39歳の出産から3年未満の女性1,000人を対象)では、自己負担額の平均は27.3万円という結果になりました。出産育児一時金など公的支援を活用すれば、自分の負担はさほど大きな金額にはなりませんが、30万円程度は準備しておきたいところです。

出産育児一時金が健康保険から産院へ直接支払われる制度(直接支払制度)を導入していない産院で分娩する場合、退院時に費用を立て替える必要があるので注意しておきましょう。また、出産のスタイルによっては費用が高額になることもあり、50万円程度の自己負担が必要になることも。特に、出産する病院や地域などによっても大きく変わりますので、あらかじめ確認しておきましょう。

一方、利用できる制度を調べておくことも大切です。出産育児一時金のほか、高額療養費制度や医療費控除、働く女性の場合は傷病手当金や出産手当金などの対象になることもあります。制度をうまく活用し、自己負担を少しでも軽くしたいですね。

育児に必要なお金は?

さて、出産以上にしっかり考えておきたいのが、育児に必要なお金。子育てにかかる費用には養育費と教育費があり、そのうち養育費には、出産から22年間で約1,640万円がかかると試算されています(AIU保険「AIUの現代子育て経済考2005」)。

一方、教育費には子供の進路によって大きく差があります。文部科学省「平成24年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から大学まで全て公立に通った場合でも約1,000万円。幼稚園と大学のみ私立だったとしても、約1,270万円の費用です。大学が理系なら約1,400万円となり、幼稚園から大学まで全て私立に通った場合は、2,500万円近くかかることもあります。習い事等の費用も含めると、これ以上の金額にもなり得るでしょう。養育費と教育費を合算すると、子育てには膨大なお金が必要になりますね。

では、育児に必要なお金はどうやって準備すればいいのでしょうか。教育資金と言えば、学資保険を思い浮かべる人が多いですが、手だてはそれ以外にもあります。例えば、「低解約返戻金型終身保険」で親が死亡したときなど万が一の保障をカバーしておき、定期預金でコツコツ貯蓄していくという方法もオススメです。これなら学資保険に比べて保障が厚くなり、積み立てたお金が元本割れする心配もありません。

出産という幸せなイベントの前には、少しでも不安なく過ごせるよう、お金のことはきちんと知っておきましょう。いざという時に慌てることのないよう、利用できる制度などについても前もって把握しておくことが大切です。

筆者プロフィール:武藤貴子
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。