俳優・福士蒼汰が、『踊る大捜査線』シリーズの本広克行監督がメガホンを取る映画『曇天に笑う』(2017年公開)で時代劇初主演を務めることが4日、発表された。
原作は、唐々煙氏が漫画誌『月刊コミックアヴァルス』(マッグガーデン)で連載している同名コミック。累計120万部を記録しており、2014年にはTVアニメ化、2015年からは舞台化とさまざまなメディアミックスを経てきた。
物語の舞台は、明治維新後の滋賀・大津。人に災いをもたらす力を持つ大蛇(オロチ)の復活の年、曇(くもう)家の長男・天火(てんか)、次男・空丸、三男・宙太郎(ちゅうたろう)の曇天三兄弟と、明治政府右大臣・岩倉具視の直属部隊・犲(やまいぬ)は、それぞれ別の方法で大蛇を再び封印し、平和をもたらそうとしていた。しかし、大蛇の力を手に入れ、明治政府の転覆をもくろむ忍者集団・風魔一族の暗躍により、行く手が阻まれてしまう。曇天三兄弟、犲、風魔一族、三つどもえの様相を呈した戦いを描く。
主人公・天火を演じる福士は、「それぞれのキャラクターが魅力的だと思いました」と原作を読んだ感想を口にする。その上で、「どのキャラクターにも過去があり、読者それぞれ好きなキャラクターができる作品」と称賛。実写化にあたっても、その「キャラの魅力を取り入れられたら」と意気込んでおり、「天火という役は、すごく頼りがいがある"ザ・兄貴"という男なので、自分もそういう存在になれるように、お兄ちゃんとして頑張りたい」とアピールする。
鉄扇(親骨を鉄にした扇子)を武器として、体当たりのアクションシーンにも挑戦するという福士。「32cmと短くて相手との間合いの近さに苦戦することもありますが、一番は扇を開いた状態でのアクションが難しい」とも吐露するが、「日本のスペシャルエンターテイメントとして、ド派手に盛り上げていきたい」「細かい所作の中で天火のキャラクターを見せていきたい」と気を引き締める。本作の設定については「和と洋の混ざり合った文明開化の時代、僕が好きな時代の一つです」と明言。「まげをゆっている者がいる中でスーツを着た者、和洋折衷な着物を着ている人々、とてもすてき」とその世界観にもほれ込んでいる様子を見せている。
一方、本広監督は、福士演じる天火を「まるで太陽のような存在のど真ん中のヒーローであり、同時に責任感の強い三兄弟の長男として宿命にあらがうために戦う悲しみや葛藤を抱える複雑で魅力的なキャラ」と表現。「誰もが認める天性の"スター"である福士さんの魅力と見事に共鳴しています」と話す通り、そのキャスティングには自信たっぷりだ。さらに、アクションのために"カリ"という格闘技も個人的に習ったという福士を「アクションへの熱意が非常に強く、稽古段階でもすでにその動きは見とれてしまうほど」と太鼓判を押す。
漫画原作の実写映画化が多い昨今。本広監督は、その背景を省みながら、本作でメガホンを取るようになったゆえんを考えたところ、「私が関わってきたヒット作品はほとんど全て『オトコたちの物語』であった」と気がついたという。それを踏まえて、本作は「自分の関わった作品を全て超える勢いで作って行きたい」と猛烈にアピール。「打倒『踊る大捜査線』! 打倒『PSYCHO-PASS サイコパス』!」と自らが手がけた作品を挙げてみせ、「原作の持つ素晴らしい世界観とドラマ性を大切にしつつ、笑って泣けてハラハラできる、ど真ん中の"ニッポンのエンターテインメント"を作りたい」と力強く語った。
映画は、6月18日にクランクイン。舞台となる滋賀をはじめとしたロケーションを経て8月にクランクアップ、2017年春に完成を予定している。
(C)唐々煙/マッグガーデン