脳貧血は貧血とは別物

貧血と異なる脳貧血の症状や原因とは

寝起きなどに起きる立ちくらみ。年に1、2回程度の立ちくらみならあまり心配はいらないが、頻繁に起きる場合は要注意。立ちくらみの背後に脳貧血が隠れている可能性があるからだ。

脳貧血は、血液に含まれる酸素を運搬する赤血球(ヘモグロビンを含む)が不足して目まい、動悸(どうき)や息切れなどが起きる貧血とは全く異なる別物。発症する原因も当然違うが、一般的にあまり聞きなれない言葉のため、脳貧血をきちんと理解していない人もみられる。

そこで本稿では、高島平中央総合病院脳神経外科部長の福島崇夫医師の解説をもとに、脳貧血の症状や原因について紹介する。

脳の一時的な血液不足が原因

脳貧血の原因とは?

脳貧血は脳潅流圧(のうかんりゅうあつ: 脳の出口と入り口の血圧の差)の低下、すなわち循環していた血液量が十分に脳に流れなくなることで起きる病態を指す。酸素を運ぶ機能を持つヘモグロビン量の減少に伴う貧血とは全く関係がない。症状は立ちくらみやめまい、頭痛、ふらつきなどがあり、ひどい場合には失神も起こりうる。

「血圧が下がっても、無意識のうちに自律神経系が働いて循環している血液の量を保とうとします。それがうまくできないと失神することもあります」。

失神時には、何らかの原因で脳潅流圧が下がり脳の血の巡りが悪くなった結果、意識が遠のく。福島医師によると、失神のみを主訴とするケースでは、脳に異常(脳梗塞、脳出血や脳腫瘍など)がないケースがほとんどとのこと。前触れとして「目の前が白くなる」「冷や汗が出る」といった症状が出ることがある。

脳への血液量が減ることで起きる脳貧血だが、脳への血液量が一時的に減少する主な原因には以下のようなものがある。

■起立性低血圧

■神経調節性失神

■アルコールによる利尿や脱水などによる体液量の減少

■血管を拡張させる薬の服用

■不整脈などの心疾患

「高齢者に多いのは薬の副作用による脳貧血ですね。特に一部の降圧薬や高齢者に多い前立腺肥大症の薬には、末梢(まっしょう)血管を拡張させる作用があります。また高齢者では加齢により自律神経障害を生じ、起立性低血圧が多いとされています。飲酒をしても末梢血管が広がりますし、利尿効果によって循環血液量も減りますので、脳貧血になりやすいですね。お酒を飲んでトイレに行き、排便・排尿をすると迷走神経が刺激され、心臓への血液量が減少し低血圧となり、立ち上がろうとして失神するのはよくある脳貧血のパターンです」。