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出産直後は、思っている以上に体にダメージを負っている時期。疲れているからこそ、体を労わりたい。そのため、「とりすぎてはいけない栄養素」についての知識を頭の片隅に置いておくことは大切です。今回は、エームサービスで管理栄養士をされている西山英子さんにお話を伺いました。
栄養素は、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」
―出産直後に、とりすぎてはいけない栄養素はありますか?
これは栄養素全般に言えることなのですが、どんなに良いとされるものでも、とりすぎは良くありません。つまり「過ぎたるは猶及ばざるが如し」なんです。
とりわけ、妊娠直後は体がダメージを受けていますから、代謝が落ちている可能性も高いです。尿で体外に排出される水溶性ビタミン以外のものは、注意が必要です。
脂溶性ビタミンのとりすぎに注意!
―水溶性ビタミン以外の栄養素とは、例えばどんなものでしょうか?
ビタミンには「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」があります。脂溶性ビタミンである「ビタミンA」「ビタミンD」「ビタミンE」などは、耐用上限量(とりすぎることで健康障害を起こす危険のない最大限度量)を超えると体内に蓄積されてしまいますので気をつけましょう。
ビタミンAをとりすぎると、頭痛になる
―ビタミンAとはどんな栄養素で、とりすぎるとどんな悪影響がありますか?
ビタミンAは、夜間の視力維持、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。豚、牛、鶏のレバーや、うなぎ、たまごなどの動物性食品などに多く含まれます。
厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によれば、18歳~40歳の女性の耐用上限量は、1日2,700マイクログラムRAE(レチノール活性当量)です。
この量を一日で食べようと思ったら、鶏レバーの煮物約20グラムが目安の量になります。ただ、レバーは鉄分の供給源でもあります。「レバーばかりを食べ続ける」など偏った食べ方は避けましょう。
ビタミンAを継続的にとりすぎた場合の症状としては、頭痛、吐き気、めまい、肝臓障害、脱毛などがあります。
ビタミンDをとりすぎると、食欲不振になる
―ビタミンDとはどんな栄養素で、とりすぎるとどんな悪影響がありますか?
ビタミンDは腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。魚に多く含まれ、しらす干し、いわし(丸干し)、すじこなどに多く含まれます。
同じく厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によれば、18歳~40歳の女性の耐用上限量は、1日100マイクログラムです。この量を一日で食べようと思ったら、すじこ約220グラムが目安です。
ビタミンDをとりすぎた場合の症状としては、高カルシウム血症、嘔吐、食欲不振、体重減少などがあります。
ビタミンEの過剰摂取に警笛!
―ビタミンEとはどんな栄養素で、とりすぎるとどんな悪影響がありますか?
ビタミンEは、抗酸化作用により体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素です。種実類・油などに多く含まれる栄養素で、アーモンドやサンフラワー油などに多く含まれます。
同じく厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によれば、18歳~40歳の女性の耐用上限量は、1日650~700ミリグラムです。この量を一日で食べようと思ったら、アーモンド約2.1キログラムが目安です。
アーモンドを1日で2.1キロ食べるなんていうことは滅多にありません。よって、一般的な食事内容でビタミンEを過剰摂取することはほとんど考えられません。ただし、最近の研究において、サプリメントとして過剰摂取すると死亡率が高まるとの報告も出されているので注意が必要です。
―ありがとうございました
取材協力
西山英子さん(エームサービス 管理栄養士)。給食事業を受託するエームサービス内の研究・開発部署で、イベントの企画・開発や栄養指導などの業務に携わる。
筆者プロフィール: 楢戸 ひかる(ならと ひかる)
1969年生まれ 大手商社勤務を経てフリーライターへ。HP「主婦er」にて、主婦生活に役立つ情報を発信中。とりわけ、マネーワークショップを主宰することで「家計運営の基盤づくりの啓蒙」に力をいれている。