港町として発展してきた兵庫県・神戸。神戸港の周辺には楽しい施設が集まり、多くの人々が訪れる。今回は、神戸港とその周辺の神戸ベイエリアの見どころを紹介しよう。デートに、レジャーに、爽快な潮風に吹かれながら歩いてみたい。
神戸駅からベイエリアを目指す
神戸ベイエリアへのアクセスはいろいろなルートが考えられるが、今回はJR「神戸駅」からスタートしよう。神戸駅は東海道本線の終点、山陽本線の起点にもなっており、そのレトロなレンガ造りの駅舎は昭和5年(1930)に建てられた。「近畿の駅百選」「近代化産業遺産」にも指定されている。
神戸駅の改札を出て、海側(南側)へ向かおう。神戸市の中心部は北に山、南に海があるという地理になっており、神戸の百貨店が店内の案内標識を「海側」「山側」と表記している話は有名だ。
海側には、立ち並ぶショップや飲食店を巡りながら、地下街「デュオこうべ」を通っていくのがオススメ。地下道が分かれているところもあるが、「ハーバーランド」という表示を目指して行けば、迷うことなく海へ近づくことができる。ベイエリアの西側にある再開発地区が、「神戸ハーバーランド」だ。
また、地下街を使わずショートカットも可能だ。神戸駅南側のロータリーを渡って歩道橋を使えば、国道2号線を越えてハーバーランドへ行ける。
プレスリー像を見ながら「はねっこ広場」へ
ハーバーランドの中心的な施設は、ショッピングモール「umie(ウミエ)」だ。施設内には、国内外の有名ブランドやバラエティーに富んだショップ、レストラン、カフェなどがズラリと並ぶ。ファミリーに人気の「神戸アンパンマンこどもミュージアム」などもあり、休日には多くの人で賑(にぎ)わっている。
「umie」の「神戸ガス燈通り」を挟んだ向かい側、「神戸情報文化ビル」前のキリンのオブジェを通り過ぎて南へ向かうと、エルビス・プレスリーの銅像が現れる。神戸は日本におけるジャズ発祥の地とされており、音楽に縁が深いということで、東京からこの地に移されたそうだ。
そんなプレスリー像を見ながら右へ曲がると「はねっこ広場」に到着。ここには、名所である可動式の橋「はね橋(はねっこ)」のほか、レストランや文具ショップが入った「神戸煉瓦倉庫」がある。
フォトジェニックな海岸を行く
「はねっこ橋」を過ぎた後は、ハーバーランドの海沿いの道「ハーバーウォーク」を歩こう。道は整備されており、ハーバーランドのランドマークである観覧車や船の信号所などを巡りながら、気持ちよく散歩ができる。
「ハーバーウォーク」を「神戸港旧信号所」方面へ歩くと、高浜岸壁に着く。高浜岸壁は、対岸に建つ「神戸ポートタワー」や、船の帆と波をイメージした「神戸海洋博物館」などがバッチリ見える、絶好の写真ポイントだ。
また、高浜岸壁は神戸港のクルージングの発着所にもなっている。食事やデザートが楽しめるクルージングなど、各社がいろいろなコースを用意しているので、時間と予算に合わせて選んでみてはどうだろう。神戸の街を海から見るのも趣がある。
港の中心「中突堤」へ
次は、神戸港を代表する波止場「中突堤(なかとってい)」を目指そう。高浜岸壁からは、ぐるっと湾を回って対岸に向かうイメージだ。歩いて10分ほどでたどり着く。
「中突堤」までの道のりのちょうど中間にあるのが、中突堤中央ターミナル「かもめりあ」だ。ここでもクルージングを受け付けているほか、2階には穴場的なカフェ「神戸きっちんころMOG」があり、店内からは海が眺められる。同店のオススメメニューは「神戸牛ミンチカツバーガー」(500円)。さくっとジューシーなミンチカツが美味だ。
●information
神戸きっちんころMOG
住所: 兵庫県神戸市中央区波止場町7-1 中突堤中央ターミナル2F
営業時間: 11:00~15:00、土・日曜日・祝日は10:00~17:00
定休日: 火曜日、木曜日
「神戸ポートタワ」ーから神戸を一望
「中突堤」には、神戸のシンボル的な建造物「神戸ポートタワー」がある。昭和38年(1963)に建設され、高さは108m。鼓のような形で優美な曲線を描いているタワーだ。
タワーの展望階(入場料: 大人700円)からはパノラマビューが楽しめるほか、床が20分間で360度回転する喫茶室なども楽しめる。タワー内ではおみやげも販売しており、オススメは上品な甘さの「神戸プリン」(270円)。ポートタワーをかたどったミネラルウォーター(324円)もある。
潮風感じる「メリケンパーク」を散策
ポートタワーを堪能したあとは、中突堤の東側に広がる公園「メリケンパーク」を散策しよう。昭和62年(1987)の神戸開港120年を記念して整備された「メリケンパーク」の園内には、ホテルや広場、博物館に震災メモリアルパークなどがあり、いろいろなイベントも開かれている。市民にも親しまれているエリアだ。
園内の「神戸海洋博物館」は、港と船をテーマにした博物館。博物館前には、テクノスーパーライナー・全没型水中翼船「疾風」が展示されている。船に関する展示のほかにも、川崎重工が製造した新幹線、ヘリコプターなども展示している。入館料は大人1人600円だ。
水際には石畳の遊歩道もある。波の音を聞きながらゆっくり歩き、水平線を眺めると心が落ち着く。また、園内には、神戸で日本で初めて外国映画が公開されたのを記念した石碑「メリケンシアター」も。スクリーンに見立てられた石碑には四角の窓が空いており、記念撮影にもぴったりだ。
南の海を向いて建つのは、一見モアイ像のようだが、「神戸海援隊」の碑だ。幕末の神戸に、勝海舟が作った海軍操練所を記念して建てられた。「若者たちが大洋に夢をはせ 経済 科学など多くのことを学んだ」と刻まれている。
「メリケンパーク」の散策を楽しんだら、帰りはJR・阪神「元町駅」まで歩くのもいいが、市内の主要スポット16カ所を巡回する「神戸シティループバス」を利用するのも便利だ。神戸ベイエリアには、「メリケンパーク」と「中突堤」の2つの停留所がある。
ベイエリアには、神戸の魅力がぎゅっと集まっている。船の汽笛を聞きながら、すてきな時間を過ごしてほしい。
※記事中の情報は2016年5月取材時のもの。価格は税込
筆者プロフィール: 藤岡智子(ふじおか ともこ)
神戸市出身。フットワークの軽さを生かし、旬の情報を収集するとともに、関西を中心に取材・執筆活動を行っている。栄養士の資格を生かしたグルメ取材も多数。趣味は野球観戦。