四日市あすなろう鉄道は24日、鉄道友の会ローレル賞に新260系が選ばれたと発表した。ローレル賞は前年1~12月に営業運転を開始した新造・改造車両の中から、優秀な車両を表彰している。
新260系は2015~2019年にかけて行う車両リニューアル工事の第1編成として、昨年9月27日から営業運転を開始した。1982年製の車両を改造したリニューアル車両2両に新造車両1両を組み込んだ3両編成となっている。鉄道友の会は新260系の選定理由として、「762mm軌間の鉄道車両という厳しい条件を克服して、当節の車両として必要にして十分な内容を具えていること」を挙げている。
新260系では、同社線の車両として初の冷房化も果たした。車内床置き形の冷房装置を中間車に1台、先頭車に2台設置し、ダクトで天井から冷風を吹き出す方式を採用。冷房の電源として中間車の床下に静止形インバータを搭載した。狭い車内幅の中で快適性を追求した点も評価され、混雑緩和などのために採用している1人掛け固定クロスシートについて、「座布団のクッションを厚くし、背もたれを高くして座り心地を向上したほか、座席の肩にハート形の手摺を設けて立席客へ対応しています」と論評している。
床置き形冷房装置の設置で減少した座席数を補うのと同時に、立席面積を確保するために両先頭車に軽く腰かけるベンチシートを設けた工夫も評価された。その他、両先頭車に各1台分の車いすスペースを設け、各車両に非常通報装置と車内案内表示器を設置するといった配慮などもローレル賞の選定理由に挙げられている。