会社でも学校でも「いじめ」は存在する

昨今の日本では、いわゆる「いじめ問題」がかまびすしい。子供たちが過ごす学校だけではなく、大人たちの世界でも職場などのいじめが日常的にみられるケースも少なくない。本来ならば、このような問題がメディアをにぎわせてはいけないはずだ。

日本の教育現場でも大きなテーマとなっている「いじめ」を、海外で生まれ育った人たちはどう感じているのだろうか。日本在住の外国人20名に「日本のいじめ」について切実に問うてみた。

Q. 母国と比較して、日本の「いじめ」をどう思いますか?

■とてもひどい
・「陰湿すぎて無理」(インドネシア/20代後半/男性)
・「ひどいと思いますし、家族や学校自体がそれに気づかないところもひどいと思います」(イタリア/30代前半/男性)
・「日本のいじめは最悪だと思います。子供が引きこもり、自殺するまでのほどです。エジプトはあまりいじめがありません」(エジプト/20代中盤/男性)
・「ひどく陰湿な感じです。人間としてはやっちゃいけないことです」(ベトナム/30代前半/女性)
・「日本のいじめはひどいです。母国で高校まで勉強しましたが、あまりいじめはなかった。でもやはり今、少しずつ増えてきいてる感じです」(マレーシア/30代中盤/女性)
・「香港でもいじめはそこそこあると思いますが、日本よりマシだと思います。香港は一人ひとり個性を持っているので、別に考え方や行動が他人と違ってもいじめられないです」(香港/20代後半/女性)
・「日本のいじめやばすぎると思います。私もフィリピンでいじめられましたが、『死ね』とかの言葉はありませんでした」(フィリピン/30代中盤/女性)

■母国も日本同様にひどい
・「ロシアもいじめが多いので、ほとんど同じです。日本の学校に通ったことがないのでわかりませんが、ロシアの場合は90年代にマフィアの映画が多かったため、子供たちがマフィアの偉い人をまねして他の子供をいじめていました」(ロシア/20代後半/男性)
・「日本のいじめがどのくらいひどいのかわからないので比較できません。母国でもいじめはあります」(トルコ/40代前半/男性)
・「ひどいことだと思いますが、欧米のいじめの方がはるかにひどいです」(スペイン/30代前半/男性)
・「韓国と比べて陰湿ないじめが多い気がします。韓国はもっと堂々と本人が前面に出て、いじめ行為をする感じがします」(韓国/30代前半/女性)

■その他
・「世界中に同じ問題を抱えている国が大勢あると思いますが、学校や親のサポートや連携が大事です。もっと自分の子供のことに目を向けるべきです」(オーストラリア/30代後半/男性)
・「いじめをする方は何の罰も受けない気がします。いじめを無視する教師も結構いますし、いじめを受ける方もカナダの子と比べて、親に話して解決するより、負けを認め、登校を辞めて引きこもる子が多い気がします。カナダだと、不登校になることは(親の方が)違法になりますので、子供の状況を理解して引っ越すか、とにかく親が解決するケースがほとんどだと思います」(カナダ/30代前半/女性)
・「日本のいじめに直接は接したことがないけれども、極端な方向に走ると確信しています」(ウクライナ/20代中盤/女性)

■総評

結果は、日本のいじめ問題のひどさを指摘する意見が多くを占め、中でも「陰湿」というキーワードが目立つというものになった。特に子供を持つ年代からすると看過できないようで、「日本のいじめの問題は深刻すぎると思います。今も我慢している学生が多いと思います。助けてあげたいです」(台湾/40代後半/女性)といった意見も見られた。日本のいじめ問題の根深さを肌で感じているようだ。

日本の治安の良さは世界でも屈指とされている。「健全な社会」は海外の人たちに誇れても、近年のいじめ問題を見る限り、「健全な精神」はまだ誇れる域に達していないのではないだろうか。「いじめはどこにでもあると思います。ですが、真剣にとらえるかとらえないのかの違いです」(ブラジル/40代前半/女性)の意見にあるように、私たちの一人ひとりがこの問題とどう向き合うかが、解決の近道となりうるのかもしれない。

※写真と本文は関係ありません

調査時期: 2016年2月15日~2016年3月15日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20名
調査方法: インターネット応募式アンケート