間もなく始まる電力小売自由化。4月1日の解禁に向け、関係省庁や参入各社が広報活動を活発化させているが、ユーザーの動きはどうなっているのだろうか。マイナビニュースの読者300人に「電力小売自由化」について聞いた。

電力自由化、どれくらいの人が検討している?

読者(n=300)に「電力会社の乗りかえを検討しているか」を尋ねたところ、「検討している」は31.6%、「検討していない」は68.3%となった。乗りかえを検討している人(n=95)のうち、「賃貸住まい」は24.3%、「持ち家住まい」は35.9%だった。

電力自由化、乗りかえ先を選んだ理由は?

どの会社に乗りかえる?

続いて「乗りかえを検討している」と回答した人(n=95)に、「具体的な乗りかえ先」について質問した。その結果、「具体的にどの電力会社にする決めている」と回答した人は55.7%、「検討しているが、どの電力会社に乗りかえるかは未定」と回答した人は44.2%だった。

それぞれの回答について、まずは乗りかえ先が具体的に決まっている人(n=42人)の意見から紹介する。

■エネルギー系
・「大阪ガス。セット割引が安い」(建設・土木/事務・企画・経営関連/男性/57歳)
・「東京ガス。ガス料金と合わせて払うと今よりもお得になる。Tポイントと交換できるから」(サービス/営業関連/男性/40歳)
・「東京電力の価格と東京ガス等の新規価格を比較して、総合的に安ければ乗りかえたいと思っている」(その他/事務・企画・経営関連/男性/50歳)
・「東燃ゼネラル石油。全体の料金が下がるから」(その他/その他・専業主婦等/女性/30歳)
・「東邦ガス。床暖房割引があるから」(ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職/男性/26歳)
・「ガス料金と合わせて払うと今よりも得。今まで競争のない環境下にいた電力会社に、民間会社であることの自覚を持たせたい」(その他/その他・専業主婦等/女性/61歳)

■通信系
・「SoftBank。Tポイントが貯めやすいから」(その他/その他・専業主婦等/男性/50歳)
・「パソコンの電源をずっとオンにしているのでできるだけ安いところを探している。またauひかりを利用しているので、auと東電の比較をしているところです」(ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職/男性/58歳)
・「家族全員がau回線を使用しているため、ユーザーとして、auでんきを検討している」(その他/その他・専業主婦等/女性/22歳)
・「J:COM。J:COMファン」(建設・土木/IT関連技術職/男性/52歳)

■その他
・「HTBエナジー(H.I.S.系列)。関西電力よりも常に5%安い価格というのが分かりやすく、今より高くなることはないので安心できるから」(専門店(その他小売)/販売・サービス関連/男性/40歳)
・「大和リビング。家賃支払いと一緒の引き落としになり、料金も現行よりも安くなるということで」(その他/その他・専業主婦等/女性/29歳)
・「東急(東急パワーサプライ)。沿線に住んでいるから」(通信関連/IT関連技術職/男性/34歳)
・「現時点での最有力は東京電力。いくつか試したシミュレートで一番安くできるかもしれないから」(サービス/販売・サービス関連/男性/46歳)

決まっていない人は何を重視する?

「検討しているが乗りかえ先はまだ決めていない」という人(n=53)のコメントは以下のとおり。

■乗りかえ先は未定だが安くなるから変更したい
・「まだ決まっていないが、安い会社に変更をするつもり」(農林・水産/技能工・運輸・設備関連/男性/27歳)
・「乗りかえ先は検討中。料金が安く信頼できる企業にしたいと考えている」(広告・出版・印刷/営業関連/男性/55歳)
・「乗りかえ先は未定。年間数千円違う会社を探している」(百貨店/販売・サービス関連/女性/42歳)
・「現在検討中だが、どこを選んでも現在より安くなると思うので」(その他/その他・専業主婦等/男性/40歳)

■その他
・「できるだけ公共料金を一本化したい」(その他/その他・専業主婦等/女性/69歳)
・「原子力の比重が高い電力会社を止めたいが、乗りかえ先を迷っている」(日用品・雑貨/事務・企画・経営関連/男性/54歳)
・「いくつかの選択肢として考えることで、電気料金の勉強にもなる」(ガラス・化学・石油/事務・企画・経営関連/男性/32歳)

総評

「電力小売自由化で、8兆円を超える市場に200を超える会社が新規参入し、電力を消費者自身が選べる時代になる」と鈴木淳司経済産業副大臣がイベントで力説したように、電力小売自由化は国をあげて実施される60年ぶりの大改革だ。

アンケートの結果、「電力会社の乗りかえはしない」という意見が多数派となったものの、約3人に1人が乗りかえを検討していることがわかった。また、持ち家住民の方が乗りかえに前向きな傾向にあるようだ。

新しい電力会社について、乗りかえを検討している人の半数以上は既にどこの会社にするか目星をつけている。具体的には、東京ガスや大阪ガスなど都市ガスが提供するサービスへの乗りかえを検討している人が目立つ。安いだけでなく、公共料金をまとめて支払えるというところも選択の理由にあがった。他にはauやSoftBank、H.I.S.など、セットでお得になるプランを提供する企業も候補に入っている。

一方、「乗りかえたいが電力会社はまだ決まっていない」という人は約4割。「今よりも料金が安くなること」を選定基準としている人が多いが、それ以外に重視する要素としては、「信頼性」「利便性」「発電方法」などが寄せられた。

各社がポイント付与や独自のセット割り引きなど、魅力的なプランを発表していることもあり、選ぶのは一筋縄ではいかないだろう。ただし、乗りかえ先を焦って決めてしてしまうと、結果的に損をする可能性もある。節約アドバイザーの丸山晴美氏が指摘するように、「抱き合わせでの割引は本当にお得か」「2年縛りなど、解約時のルールはどうなっているか」といったポイントを事前にしっかりとチェックしおく必要がありそうだ。

調査時期: 2016年2月29日~3月3日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男性191名 女性109名 合計300名
調査方法: インターネットログイン式アンケート

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