JR東日本は2日、東日本大震災から間もなく5年が経過するにあたり、被災箇所の復旧状況と大規模地震対策の進捗状況について発表した。

常磐線浜吉田行の普通列車

震災による津波ならびに福島第一原発の事故にともない運転を見合わせた太平洋沿岸7線区のうち、八戸線・石巻線・仙石線の3線区は昨年までに全線運転を再開。気仙沼線前谷地~気仙沼間と大船渡線気仙沼~盛間では仮復旧としてBRTが整備され、現在に至るまで運行されている。昨年、BRTの継続運行をもって本格復旧とすることがJR東日本から沿線自治体に提案され、大船渡線についてはすべての沿線自治体が合意。気仙沼線については南三陸町と登米市の合意を得て、気仙沼市との間で協議を継続している段階だという。

山田線宮古~釜石間と常磐線竜田~原ノ町間・相馬~浜吉田間は現在も運転を見合わせており、振替輸送もしくは代行輸送を実施している。このうち、山田線については三陸鉄道が引き継いで北リアス線・南リアス線と一体運営することが決まっており、2018年度内の開業をめざし、復旧工事を進めている。

常磐線相馬~浜吉田間は、新地駅・坂元駅・山下駅を含む区間について、内陸側にルートを移設して復旧することとし、2016年末までに運転再開の予定。小高~原ノ町間は2016年春に運転再開予定、浪江~小高間は2017年春までの運転再開をめざして復旧工事中。竜田~富岡間も2017年内に運転再開の予定だという。帰還困難区域を含む富岡~浪江間については、空間線量率の高い箇所があることから線量低減が重要な課題になっており、昨年8月から除染試験施工を実施するなど、効果的な除染方法を検証しているという。並行して地震で損壊した橋りょうの設計、撤去工事も行い、運転再開に向けた検討・準備を進めている。

2012年度から5年計画で進める大規模地震対策は順調に進んでおり、2016年度末には全体の8割が完成する見込み。今後はとくに「切取り」と呼ばれる、線路の両側が土壁となっている箇所での耐震施工に本格的に取り組むとしている。