JR九州はこのほど、若松線(筑豊本線若松~折尾間)に導入する架線式蓄電池電車の車両デザインなどについて発表した。車両形式は819系、愛称は「DENCHA(DUAL ENERGY CHARGE TRAIN)」で、今秋の営業運転開始に向け、4月から試験運転を行う。

架線式蓄電池電車819系「DENCHA」外観イメージ(JR九州提供)

同社は2014年11月、非電化区間を走る気動車に代わる次世代車両として、若松線に架線式蓄電池電車7編成14両を順次導入すると発表していた。交流電化区間で充電する蓄電池電車は日本初とのこと。すでに直流蓄電池電車EV-E301系「ACCUM」を烏山線に投入しているJR東日本も、昨年11月、JR九州の架線式蓄電池電車がベースの新型交流蓄電池電車EV-E801系を男鹿線に投入すると発表している。

今回発表された819系「DENCHA」は、「『人と地球の未来にやさしい』をイメージした車体」がコンセプト。現行の817系をベースに、地球をイメージした青色が映える車体とし、環境へのやさしさを表現した。車両に蓄電池と変換装置を搭載し、非電化区間ではパンタグラフを下げ、蓄電池のみの電力で走行。ブレーキ時に発生する回生電力は蓄電池に充電される。交流電化区間では従来の電車と同様、架線からの交流電力で走る。走行中・停車中に架線からの交流電力を変換し、蓄電池に充電する。

客室照明にはLEDを使用し、筑肥線の車両305系にも導入された「スマートドア」(押しボタン式開閉ドア」を採用することで室内温度環境の維持を図る。ドア上部に視認性の良い液晶画面「マルチサポートビジョン」を設置し、停車駅や乗換案内のほか、車両内の電力の流れを開設するエネルギーフローも表示するという。

819系「DENCHA」内装イメージ(JR九州提供)

JR九州の架線式蓄電池電車819系「DENCHA」は、非電化区間の若松線に導入され、折尾駅から交流電化区間の福北ゆたか線(筑豊本線)へ直通運転も行う。今年4月から1編成2両による試験運転を開始し、今秋から営業運転を開始(先行投入)する予定。2017年春に6編成12両を追加投入するとしている。