南海電気鉄道は20日、浜寺公園駅(南海本線)駅舎を仮駅舎に切り替えると発表した。「南海本線(堺市)連続立体交差事業」の進捗にともない、明治時代から109年にわたって利用された現駅舎は1月27日の営業運転終了をもって引退となる。

南海本線の浜寺公園駅駅舎。隣接して仮駅舎の建設が進められていた

堺市内にある浜寺公園駅は1897(明治30)年に開業。南海電鉄によれば、現駅舎は「東京駅丸の内駅舎などの設計で知られる辰野金吾博士が所属した辰野片岡建築事務所の設計」で1907(明治40)年に建て替えられた「木造平屋建て、ハーフティンバー様式の美しい建物」だという。隣の諏訪ノ森駅西駅舎も1919(大正8年)に建築された歴史的建造物で、1998(平成10)年には両駅舎そろって国の登録有形文化財に登録された。

諏訪ノ森駅・浜寺公園駅を含む南海本線石津川~羽衣間(約2.7km)では現在、堺市を事業主体に「南海本線(堺市)連続立体交差事業」が進められている。同区間を高架化することにより、「開かずの踏切」や市街地分断の解消、交通渋滞の緩和などの効果が期待される一方、諏訪ノ森駅・浜寺公園駅ともに高架駅となることから、文化財としての価値を持つ両駅舎の保存・活用が課題とされてきた

浜寺公園駅駅舎は1月27日の営業運転終了とともに閉鎖され、翌28日の始発列車から隣接する仮駅舎に切り替えられる。現駅舎の今後に関して、「新駅舎のエントランスなどとして保存活用される計画となっています」と南海電鉄。堺市は現在の浜寺公園駅駅舎の保存活用方策について、中央部分を新駅舎のエントランス、両側部分を来場者の集い・憩いの場として活用し、「施設運営については、市民や民間活力を活かす」としている。