中国料理は何といっても火力が命! 熱伝導率が非常に高い鉄の中華鍋は、シャキシャキの野菜炒めやパラパラ炒飯もお手の物。「でも中華鍋は重くて……」という女性も多いのでは? そこでお父さんの出番です。普段は「料理はしない。ってか、家事もあんまり……」という超初心者でも簡単においしくできるレシピを紹介。レシピ考案は、テレビや書籍などで大活躍中の四川料理店「ピャオシャン」井桁良樹シェフだ。

実際に料理を作る前に、まずは中華鍋の扱い方を井桁シェフに教えていただいた。

「焦げないようにするためには、空焼きすることが大切。料理をするたびに、煙が出るまで中華鍋を熱し、その後油を入れて全体になじませます。この時油は多めに使うのがコツ。油が少ないと逆に火が付きやすくなるので危険です。油を全体になじませた後は、余分な油を捨て、料理を始めます」。

そして、いよいよ基本中の基本、憧れのパラパラチャーハンにチャレンジだ。具材はシンプルに牛肉とレタス。オイスターソースと黒胡椒というシンプルな味付けで牛肉の味わいをいかしている。

「牛肉とレタスのオイスター風味のチャーハン」

パラリと仕上げるコツは、ごはんを炒める前に少量の溶き卵をかけること

材料(2~3人分)

牛モモ肉 30g / レタス 30g / 長ネギ 20g / 溶き卵 1個分 / ごはん 200g / オイスターソース 小さじ1/2 / 油 大さじ1

A(塩・黒胡椒 各少々/ 紹興酒、卵、片栗粉、油 各小さじ1/4)

B(塩 小さじ1/4 / 黒胡椒 少々 / 紹興酒 2~3適)

つくり方

1.牛モモ肉は5㎜角程度にカットし、Aで下味を付けておく。レタスは1㎝幅の細切りに、長ネギはみじん切りにする。

2.中華鍋を熱して油をなじませ、1の牛肉を炒める。火が通ったら鍋から牛肉を取り出し、オイスターソースで和える。

3.ごはんはボウル等に入れ、ここに溶き卵1/4程度を満遍なくかけておく。

4.中華鍋を熱して油をなじませ、残りの溶き卵をお玉で入れる。お玉で1~2回卵を混ぜたら3を加えてさっと炒める。Bを入れてお玉でやさしくほぐし、中華鍋をあおりながら強火で炒めていく。ごはんの固まりがなくなってきたら、1のレタスと長ネギ、2を加えてさっと炒め合わせ、器に盛り付ける。

たっぷりの卵を混ぜ込んで卵かけごはんにしてから炒めるのではなく、少量の溶き卵をかけておくだけでよい

パラパラのチャーハンに仕上げるコツは、炒める前に少量の溶き卵をごはんにかけること。卵かけごはんのようにたっぷりの溶き卵をごはんに混ぜ込んでしまうと、パラリとした仕上がりにはなるが、もそもそとした食感になってしまう。また、炒める時間が長いと牛肉やレタスから水分が出てくるので、冷やごはんを使う際は電子レンジ等で加熱してから溶き卵をかけ、手早く仕上げる下準備も大切だ。


著者プロフィール

「老四川 飄香」オーナーシェフ・井桁良樹さん
2005年4月に東京・代々木上原に「老四川 飄香」を出店。中国での修業経験を生かしつつ、独自のアレンジを加えた本格四川料理が評判となり、連日予約で席が埋まる人気店に。現在は本店を東京・麻布十番に移し、東京・銀座に「銀座三越店」も展開。店名は、"OLD四川が漂い香る"という店のコンセプトから付けた。日本人向けに、直接的ではなく香りで辛さを感じるような独自の工夫を行なっている。

撮影: キミヒロ