――1クール目の『イグジスト』を作っている段階から、2クール目の主題歌を作ることも決まっていたんですよね

atsuko「決まっていました」

――その段階から「DEAD OR ALIVE」の方向性も決めていたのですか?

atsuko「そんな余裕はないです(笑)。もう『イグジスト』と『暗夜航路』を作ることに全力でした。もちろん、第2クールの曲も作らなければいけないということはわかっていたんですけど、1クール目のOP/EDで精一杯なので、そこまで考える余裕はなかったです」

――タイトルを「DEAD OR ALIVE」にしたのは?

atsuko「すごいタイトルだと思いません? ヒットチャートなどを見ると、キラキラしたタイトルの曲が多い昨今、どれだけおどろおどろしいんだって感じですよね。しかもタイトルだけ先に発表されたとき、ファフナーのファンの皆さんが、どういう意味なんだ、誰か死ぬのか? 誰が生き残るんだって騒然となっていましたが(笑)」

――ファンとしてはすごく気になるタイトルだと思います

KATSU「そもそも、『HEAVEN AND EARTH』の映画で、ファフナーは最後だと思っていたんです。だから、もう最後だし、今までの感謝の気持ちを込めて『蒼穹』というタイトルをつけたんですけど……」

――帰ってきちゃいましたね

KATSU「『まだあるんだ!』って感じだったので、今回はあらためて、十数年間を総括するファフナーのテーマを考えたところ、やはり一番ファフナーっぽい言葉って、もう"生きるか死ぬか"なんですよ。もちろん生きてほしいけど、亡くなったら亡くなった人のことを覚えておいてほしい。そこにたどり着いてatsukoが『DEAD OR ALIVE』というタイトルをつけたとき、『あ、ファフナーってそれだね』って思いました」

――曲を聴く上で注目してほしいポイントはありますか?

atsuko「フェストゥムと理解しあえるのか? というところで対話をイメージして、Aメロを掛け合いにしているのですが、掛け合いの部分は、私が一人で歌うのではなく、コーラスの皆さんに歌ってもらうことによって、私と誰か別の人が呼応し合うようなイメージを出しています。"痛い痛い"のコーナーも、掛け合いなんですけど、ここはライブでお客さんと一緒に歌えたらいいですね。あと、"輝く蒼穹(そら)は~♪"の部分は、『Shangri-La』と同じ歌詞だし、メロディーもそこまでは一緒なので、たぶんそこだけ聴いた人は、『え? Shangri-La? 違う! みたいな(笑)」

――先ほど"全部のせ"とおっしゃっていましたが、非常に既視感というか既聴感のあるパートが散りばめられていますよね

atsuko「『follow me follow you』もそうですけど、そういった部分を意図的に入れることで、ファフナー感を高めたいと思いました。今までは昔の曲で使っていた言葉をまた使ったりするのは、ボキャブラリーが少ない人なのかなとか、また同じ言葉を使っているよとか思われないように意識的に避けていたんです。でも、もうここまで来たら、『これがファフナーなんだよ!』っていう思い切りがついたというか、中途半端にやるぐらいなら、そのまま入れてしまえって(笑)。ただ、ここまでできたのも、全部自分たちが作った曲だからなんですよ。ほかのアーティストさんの曲があったりすると、そのフレーズやメロディーは使えないじゃないですか。でもそれができるのは、同じアーティストが20曲以上作っているからであり、それはある種の特権なのではないかと考えるに至り、いろいろなキーワードを散りばめてみました」

――アレンジもやはりそのあたりを意識しているのでしょうか?

KATSU「ぶっちゃけると、『Shangri-La』のころは、空を飛べるファフナーって一機しかなかったので、"地に足の着いた音楽"というところにこだわっていたんですけど、映画くらいからビュンビュン飛び出しちゃって(笑)。だからもう、地に足の着いた音楽というのは違うと思い、挿入歌の『その時、蒼穹へ』という曲くらいから、ファフナーサウンドも少し変化していくようになりました。ただ、"こうしたい"とか"こうしよう"みたいなものはあまりなくて、自分の中にある"ファフナーはこうあるべき"みたいな音を構築していった結果、すごく壮大な曲になってしまったというのがあります。自分がこうしたいというよりも、作品の力に引き寄せられていったという感じが強いです」

――なるべくしてなった結果、という感じですね

KATSU「見ている方向が、スタッフも、冲方さんも、XEBECも、みんな一緒なんだというのが伝わってきたので、"こうしたい"というより"こうなってしまった"というサウンドになっていると思います」